【生産性】ケーキ屋さんの人件費と生産性とは?原価計算の考え方【人件費】

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今回のテーマは

【生産性】ケーキ屋さんの人件費と生産性とは?原価計算の考え方【人件費】

以前【スイーツの原価率について解説】を行いました。

【食材原価率が高い商品の秘密についての解説】はこちら。

そしてもう一つ重要な原価率の要素が【人件費】そんな人件費について大事な指標があります。それが【生産性】です。

生産性を良くするという考え方は、あまり知らない方からすると【え~、なんか手抜きしているだけでは?】と言われがちですがそれは違います。生産性の向上は結果お客様に還元できる商品を増やすことができるということです。

今回は

  • 製造原価の重要指標・労働生産性とは
  • 生産性の求め方【同じ時間でどれくらい作れるか】
  • 生産性が高い商品が良い理由

上記の流れで解説を行います。

大男
大男

「目に見えにくいのが生産性です、その分生産性をあげればメリットがたくさんあります!ぜひ考えてみましょう!」

製造原価の重要指標・労働生産性とは

まず初めに【生産性】という言葉について解説を行います。生産性という言葉は多くの意味がありますが、今回は【ケーキ屋(製造業)の時間当たりの労働生産性】に絞ります。今後出てくる生産性はすべて、【労働生産性】とします。

他にも様々な指標・生産性があるので、興味がある方は調べてみてください。

人時生産性とは?算出するための計算方法と向上させるためのポイント - 業務管理・仕事可視化ツールならMITERAS(ミテラス)
人時生産性とは、従業員1人が1時間働く際の生産性のことです。 ここでは人時生産性と労働生産性および人時売上高との違いや算出計算式、向上させるための具体例について解説します。

簡単に言うと【1人のパティシエが1時間で**円分の商品を作れるか】というところに着目します。

これで何がわかるかというと【この仕事で実際にいくら売り上げを立てることができるのか】ということがわかります。

ケーキ屋では様々な商品を販売しますが極端な例を言うと

  • 1個作るのに5時間かかるが、1万で売れるチョコケーキ
  • 100個作るのに1時間しかかからないが、1個¥200で売れる小さいシュークリーム

チョコケーキは1日10時間労働では2個しか作れません。つまり1日の売り上げの最大金額は2万円です。

一方シュークリームは2万円分(¥200が100個)作るのにかかる時間は1時間です。チョコケーキと同じように10時間使うと売り上げの最大金額は20万円です。

経営目標を立てた時に、1日3万売り上げなければいけないとなった場合、チョコケーキしかない場合は15時間働かなくてはいけなくなるということになります、いやですよね。というか見直しが必要です。

これを計算・判断するのに必要な情報として生産性の算出が必要となります。

生産性の求め方【同じ時間でどれくらい作れるか】

例えば1カット¥500のケーキが2種類あるとします。それぞれの作り方・時間を見てみてみます。

  1. 1時間で10個作れるケーキ
  2. 2時間で30個作れるケーキ

1番は¥500×10=\5,000/1時間
2番は¥500×30=\15,000/2時間=\7,500/1時間

となります。

このようにそれぞれ1時間当たりの生産性を算出することができます。結構シンプルです。

【生産性=[商品販売金額×生産数]/時間】

ちなみに生産性はあくまで【製造するための時間】ですので、例えばショートケーキの場合は

  • ジェノワーズを焼く時間・スライスする時間
  • シャンティーを作る時間
  • ナッぺの時間
  • カット・仕上げの時間
  • パーチ取の時間

すべて含まれます。ここ忘れがちなので要注意です。

私は目標値を設定しています。少しシビアですが、あくまで【目標値】ですので、指標です。理想は高いほうが、より健全な経営状況といえます。

ざっくりですが、健全な経営環境にするためには、企業では全体の生産性を¥5,000/時間を目標にするといいとされています。(月180時間労働として月90万・年間1,080万)

生産性が高い商品が良い理由

ちなみに生産性はあくまで指標なので【低ければ絶対悪い】ということではありません。

例えば特注ケーキの依頼があったとします。オリジナルケーキで【青いマジパンのバラをたくさんつけてほしい!】となった場合。

通常のホールケーキに¥2,000追加料金を取るとします。普段作っていない物(特注)なので作るのに時間がかかりますが、生産性だけで考えると作るのにプラスで1時間かかってしまう場合は¥2,000/時間なので、大幅に下がります。

1時間で出来ればいいのですが、慣れていないものならばトータルで2時間~3時間かかってしまうかもしれません。こんな感じで特注は多く対応していくと生産性が著しく下がってしまい【経営破綻】につながってしまいます。

ただし、あくまでも【全体バランスがとれていれば別】です。

例で出した1個¥200のシュークリームと1個¥10,000のチョコケーキ

1日の目標売り上げが¥30,000の場合の商品構成は
シュークリーム300個でも、シュークリーム200個+チョコケーキ1個でもどちらでも構わないわけです。

しっかりと生産性のバランスが取れる形であれば【シュークリーム1種しか売ってないケーキ屋】【さまざまな種類のケーキが売っているケーキ屋】どちらがよりお客様のためになっているか・喜ばせることができるかは想像付きますよね。(まあ、この場合シュークリームの方は【専門店】の扱いになるでしょうが…😅)

つまり【生産性の高い商品・管理】を行っていると【自分のやりたいこと・お客様の求めること】を再現することができます。

それこそ単純に利益率・生産性の高い商品を多く持つことにより

  • 人を多く雇える(経費があるから)
  • イレギュラー対応がしやすくなる(生産性が高い分、食材原価率の高い商品が出せる・季節対応ができる)
  • 従業員満足度が上がり、結果顧客満足度につながる(やりがい搾取につながらない、健全な業界になる)

今までの菓子業界は【製造者の人件費】を徹底的に落とすことによって成功しているビジネスモデルでした。時給換算¥300~500の世界でした。(今考えると恐ろしい!)

ですが、昨今ではそういうわけにはいきませんし、私もこんな【やりがい搾取】の業界では嫌です。後進が育たなくなってしまいます。

今、それに気づき変革してくれているシェフパティシエ・経営者の方が多くいらっしゃいます。私も協力ができるように、微力ながら自分の範囲内はしっかりと【適正労働環境】【適正賃金】が作れるように努力していきたいと思っています。

まとめ

いかがでしょうか。

今回は【生産性】ケーキ屋さんの人件費と生産性とは?原価計算の考え方【人件費】として

  • 製造原価の重要指標・生産性とは
  • 生産性の求め方【同じ時間でどれくらい作れるか】
  • 生産性が高い商品が良い理由

上記の解説を行いました。

ついつい【なんか利益率が高いとか聞くと悪いことしてそう】というイメージが本当に多いですが、その分犠牲になっていることが多いんです。昔のケーキ屋で言えば人件費の安さ。もしくは粗悪品を使って原価を下げる。という対応をしていました。

それならば【適正な価値を】【適正金額で届ける】小さなことですが、そのマインドが大事なのではないかと私は思います。

パティシエの基本は【ケーキを食べてくれる人に笑顔になってもらうこと】です。胸を張って自分が【パティシエって素晴らしい仕事だよ】といえるように精進していければと思います。

この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪

 

それでは!

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