どうも!
某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。
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有益な情報を伝えていけたらと考えています😆
今回のテーマは
【戦力】シェフパティシエが答える、専門学校の学びの上手な活かし方【現場の本音】
すこし色々なところから怒られそうですが、ぶっちゃけた現場の本音を語ります。
そして、はじめに書きますが私はパティシエになるなら「専門学校行っておいたほうが良い派」の人間です。
ですが、「専門学校行ってるから安心」と、適当に採用する料理人やパティシエの多いこと…気持ちはわかりますが。
なぜ私がそう思うかを
- 専門学校はあくまで専門学校
- 現場と学校の大きな違い
- 理屈だけ・経験だけではダメな理由
- 修行時代のパートのおばさまのスピード
上記の順に解説していきます。
専門学校はあくまで専門学校
先日投稿した記事のとおり、製菓や料理の場合専門学校は【就職斡旋所】です。
これについて詳しくはこちらの記事をどうぞ
また、資格面でも「パティシエになるための資格」というものもありません。
あったら便利な資格はたくさんありますが、教師やお医者さんのように【この資格がないと名乗れない】というものはありません。製菓を製造する環境で働いていれば立派なパティシエです。
そのため、決まりごとはないですが、
なんとなく【専門学校=その道の教育を受けている=だから戦力になるのでは?】と考えがちですが、残念ながらそこには大きな違いがあります。
現場と学校の大きな違い
そもそも論ですが「学校での知識は役に立つが、経験は役に立たない」です。
全てとは言いません。私も学生時代にクッキーのお城を飴とクッキー生地で作ろうといてすごく難しくて大苦戦。しまいにはボロボロの出来上がりをあえて「ハロウィン風」として課題提出したのを今でも覚えています…🤣
そのため、細工物や組み立て物にはときには緻密な設計図と計画が重要ということを知りました。
(まあ、あれはあれでナイスアイデアでした♪)
ですが、学校と職場では【仕込む際の規模や方法】が違います。
例えば、クッキーやシュクレ生地。
学校ではタルト台は数回しか作りませんでしたが、店では入って1週間で【タルト20台、シュクレフォンサージュしてダマンド絞って仕込み】
え…となりました。経験値数を大幅に超える数、しかも生地を伸ばすのに使うのは【シーター】という生地を伸ばす機械。勿論うまくいきません。
また、当時のお店のジェノワーズはSPを使ったオール・イン・ワン方式。その代わり毎日焼いて、冷凍生地は使わないお店でした。
SPに関しては後日記事作成を行います。ちなみにこんな感じのものです。
(ここだけの話、家で使ったら最強です!)
まずSPって何…?てか、薄力粉入れてなんで生地がたつの…?
わけがわかりませんでした。
更に、オール・インではなく、立てた卵に粉を後入れで混ぜていく生地の場合もありました。ただし使うミキサーは30クォート。ケンミックスやキッチンエイドの4〜5倍量で仕込み、カードを使って素手で混ぜ込んでいきます。
ゴムベラで少量仕込みむのと、ミキサーで大きく作るのは基本は一緒ですが、注意点やポイントはまるで違います。違うというか、ボリュームの違いによって気にしなければいけないポイントが多いです。
このように、レシピや業務内容は店によって違います。ですから学校で教えることは不可能ですし、何より環境や現場の違いがあります。ですから、いくら多少学校で教わっているとはいえ「戦力になりません」
製菓の大量仕込みについての本当の技術やスキルは、実践して初めて身についていくものです。
理屈だけ・経験だけではダメな理由
もちろんだからといって何も「学校で教わったことが全て無駄」というわけではありません。
- 1回もケーキを焼いたことのない人
- 何回もケーキを焼いたことがある人
上記二人では圧倒的に【何回もケーキを焼いたことがある人】のほうが、経験値も上ですし能力も上です。当たり前ですが、少しでも体験したものの種類・回数が多いほど有利です。
ですが、経験のみを重ねていくと中堅レベルになってきたときに大きな壁にぶつかります。
それは「なんかよくわからないこと」が増えていくことです。
ある程度経験や現場を重ねていくと、パティシエとしてのスキルや経験値は溜まっていきます。ただ、「理屈はわからないけれど、上手に作れる方法を知っている」物が増えていってしまいます。
何が悪いの?という声が聞こえてきそうですが、
今後も全く同じメニューを同じ材料で一生作っていく
これならばいいと思いますが、そうではないですし嫌ですよね。一つのものしか作れないシェフパティシエや先輩。私は良いとは思いません。
逆に知識だけの「本だけで勉強したなんちゃって料理人・パティシエ」も良くないです。
経験がないので、実際にやってみたときに「あれ?これであってんのかな?てかなんか違うな…」という、そもそもの判断ができないので、うまくいきません。
知識は確かに大事ですが、まずは1回やってみる。「百聞は一見にしかず」とのことわざ通り、まずは試して経験することが重要かつ結果がスピーディーにでます。
ですから、どちらが欠けてもうまくいきません。ですから
【知識と経験】どちらも着実に蓄えていきましょう。
勿論トライ&エラーで気合の突破!でも構いませんが、しっかりと知識を蓄えていけば自分なりの対処法やより素早い対応が柔軟に出来ますし、新しいチャレンジも多く出来ます。
今後も色々と新しい技術や材料、新レシピが世の中に発表された時に理解【知識】がないと意味がわからずやったことがないもの【経験】では、せっかく手に入れた情報の再現性が低くなります。
つまり新しいことに挑戦したときに、つまずいたときのリカバリーが出来ないということになります。
勿論製菓理論だけではなく、マネジメントやマーケティング、PCスキルを勉強すれば人事面の安定や工数削減による労務改善、様々な恩恵があります。
これだけ情報を手に入れることが簡単な時代なので、【経験と知識】どちらも少しずつ積み重ねていけば自分の財産になります。しっかりと「自分」という商品を高めていきましょう。
修行時代のパートのおばさまのスピード
余談ですが、修行時代のパートのおばさま。
焼き菓子の種類で、鉄板に手で薄く伸ばして焼く生地がありました。手にベタベタくっついてやりにくいんですが、このおばさまに伸ばしをやってもらうと、お店のどのパティシエよりも早く伸ばせてました。結局私は一度も追い抜くことが出来なかったです。。。
多少雑にやるところがポイントなのですが、こういったスピード勝負や単純作業では負けてしまうんです。未経験のおばさまに。
現場レベルでは最高に戦力になるおばさまです。専門学校生2人分の生産性があります。教育コストもかかりません。パートですから人件費も変動費。どの面をみても専門学校生が勝てるところはないんです。
ただし、おばさまは他のスイーツが作れたりはしません。というかケーキも作れません。「色々なスイーツを作る」というやる気もやる意味も無いからですね。ですが私たちパティシエたちは違います。スイーツを作ることを仕事にしているので、これからも学び・成長していきます。ここがないと、一般人以下ということになります。プロの意地です、日々研鑽と知識を蓄えていきましょう。
元気かな…あのおばさま…
まとめ
いかがでしょうか。
今回は【戦力】シェフパティシエが答える、専門学校の学びの上手な活かし方【現場の本音】として
- 専門学校はあくまで専門学校
- 現場と学校の大きな違い
- 理屈だけ・経験だけではダメな理由
- 修行時代のパートのおばさまのスピード
こちらについて解説していきました。
繰り返しになりますが、私はパティシエになるためのオススメ進路は【専門学校卒】です。
ただし、あくまでオススメなので、私が面接し採用する場合は「専門学校に行っていたか」に関してはほとんど採用基準には関係ありません。
実際の経験談で、完全未経験の高校生を雇って、ナッペやムースづくり・簡単な特注ケーキを作る所まで育てることが出来ました。
そこらへんの使えないパティシエよりよっぽど戦力になりました。ですから、パティシエはあくまで技術職ですので、本人のやる気次第かなと思います。
学校で教わった基礎知識を活かし、現場で経験を積み、更に自分で勉強を続け知識を蓄え
頑張っておばさまに負けないパティシエになりましょう!
この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪
それでは!
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