【全3回】シェフパティシエが教える!Xmasの仕事①後編[ケーキ屋の場合]【クリスマス】

パティシエになるには

どうも!

某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。

こちらのサイトは

  • これからパティシエになりたい人
  • パティシエなりたての新人さん
  • スイーツに興味があるみなさん

そんな方々に少しでも役に立つ

有益な情報を伝えていけたらと考えています😆

今回のテーマは

【全3回】シェフパティシエが教える!Xmasの仕事①後編[ケーキ屋の場合]【クリスマス】

今回はパート1ケーキ屋さんのクリスマス営業の場合・後編】 です。前編はこちらからどうぞ!

修行時代の実際の私の体験談からピックアップして解説を行います。後編はいよいよ本番となるクリスマスイブ・クリスマス当日。当時の現場での出来事を紹介していきます。

ケーキ屋のクリスマス 12/24・25

いよいよ本番!怒涛の販売がスタート

さて、いよいよ本番です。23日までは仕込みに集中していましたが24日~お店がオープンします。ということは予約したケーキの準備とショーケースへ出すケーキの準備が追加されます![ちなみに、基本的には【オーブンは一切つけません】ケーキを仕上げることに集中するためです]

プチガトーも普段の数倍準備するので、一切つけません普段1~2時間で終わる仕事が倍時間がかかります。更に飾りつけもクリスマス用に特別感を出すので、普段と違った飾りつけになります。さらに準備数も多いです。普通にやっていては間に合いません。ではどうするのか。

普段よりも仕上げの手数がかからないように工夫します

どういうことか、例として【プリンアラモード】の仕上げで解説します。仕上げの工程で

通常時

  • プリン生地の上にケーキクラム
  • スプーンでクネル型にしたシャンティ
  • フルーツ5種(いちご、ブルーベリー、オレンジ、キウイ、ブドウ)
  • ナパージュ

クリスマスver

  • プリン生地の上にケーキクラム
  • シャンティ絞り(星口金)
  • フルーツ3種+飾り(いちご、ブルーベリー、アプリコット缶、セルフィーユ)
  • クリスマス飾り
  • ナパージュ

上記二つの違いとして、グッズの合計個数は一緒ですがいくつか工程・工数を簡易化しています

具体的には

【皮をむく必要のあるフルーツを外す】【プリンのみ使用している道具・飾りを無くす】

フルーツの中で【オレンジ、キウイ、ブドウ】は皮をむいたり種を取らなくてはいけないので、手数が多いです。そこで【アプリコット缶、セルフィーユ】に変更。種取や皮むきがないので手数の削減になります。また、全体的な色合いバランスは残しつつ、クリスマス飾りの分種類を2種削減 。原価面のコントロールと単純な工数削減も併せて行います。

また【スプーンでクネル型にしたシャンティ】も改めます。クネルは1個作るごとにスプーンを温めたりシャンティの固さを確認したりする必要があり、スキルも必要です。つまり

難しくて時間がかかる

そこでクネルの変わりに【シャンティ絞り】に変更。絞りならクネルの何倍ものスピードで作成していくことができます。

また、細かい所でいくと口金を【星口金】にしています。

使う口金の種類もなるべく減らすのです。丸口金サントノーレ口金ではなく、他のケーキにも使っている【星口金】に統一することにより、複数のケーキの仕上げ・絞りが同時にできるようになります。

簡易化したり種類を減らすと、普段よりも見栄えが下がるという懸念がありますがそこでの対策は

【クリスマスの飾り・オーナメント・ピックをつける】

こちらでカバーします。むしろ【クリスマス飾りをつけるために、変更している】といった方が正しいかもしれません。

クリスマスやハロウィンのようなシーズン・季節物は商品の種類を変えるだけではなく仕上げの方法・飾りつけ・ピック・オーナメントでもカバーしていきます。クリスマスなら

  • 柊飾り
  • メリークリスマスのプレート
  • サンタ飾り
  • トナカイピック

などついていると、季節感=クリスマス感が出るので顧客満足度が上がり、販売数が上がります。もちろん通常時につけない飾りをつけるので追加で原価がかかります。そのため、値上げして特別金額として対応するというわけです。ですから

【決してボッタくりしているわけではありません!】サンタや柊飾りなんて、それこそ追加で1個¥100程かかります。

少し話がそれましたが、このように手数を減らす工夫をしたり季節感の演出を行うことにより、通常の売上を大きく上回る販売ができるということです。

売れる分だけひたすら【追加】

ここで提言します!とっても大事なことです。

クリスマスは、パティシエにとってお仕事祭り・パーティーです

【クリスマスは苦しみます】なんて言うのは今日で忘れてください。記憶から消してください😁

お祭りなので、なるべくたくさんの準備をしてたくさん販売します。【無いから売れなかった】というような機会損失は許されません!ですからひたすら仕込み続けて、販売し続けます。ずーっとです。

本当にありがたい話ですが、ホールケーキを予約したお客様も【ついでにこの小さなケーキ買っていこう!】となる事が多いので、どんどん売れていきます。ですからひたすらケーキを追加していきます。普段もケーキが少なくなったら追加していきますが、基本1人・多くても2人で対応ですが、クリスマスは3人・時には4人全員で絶えず作り続けます。もちろん全員でやった方が速いのですがあえて1人はなるべく手が空いている状態を作ります。なぜでしょうか。

そうです。ホールケーキも販売しているからです

ホールケーキはひたすら【出すだけ】の状態に!

ほぼ全員でプチガトーを作っているので、ホールケーキを作ったり仕上げたりする場所も手も足りません。ですから、ホールケーキはすべて事前に仕上げておきます。これはショートケーキもムースもブッシュドノエルも同じです。ひたすらストックの冷蔵庫から店頭に出していきます。

このように1日に何台も出していくのですが、当日売れるケーキ以外にも予約のケーキもたくさんあります。ただ予約があまりにも多いので、当時のお店は3つの対策をしていました。

  • 予約の支払いは、すべて前払い
  • 予約のケーキと通常販売のケーキは分けない
  • メッセージは基本NG

順番に解説します。

予約の支払いは、すべて前払い
→販売数が多いということは、お会計も混雑します。普段もレジは1台です。が、1台で対応できない人数のお客様が来ます!忙しいと会計ミスも多くなるので(これは本当に多くなります。高稼働=会計ミスはつきものです)なるべく会計回数を減らしたいです。そこで【予約販売のケーキはすべて事前支払い】としていました。予約を確認して(つまり会計が済んでいるかの確認)あとはケーキを渡すだけにすれば、ミスが減りスムーズにケーキの受け渡しができます。

予約のケーキと通常販売のケーキは分けない

→予約ケーキと通常販売のケーキの違いは【お会計を事前に貰っているかどうか】です。となると、わざわざ1台ずつ分けて管理する必要がありません。種類とサイズが一緒なら全く同じケーキです。

もちろん【今日は予約200台フリー販売100台だから、事前に200台別に置いておく】というようなざっくりとした管理は必要ですが「12時予約の**様のケーキどこ!?」のような管理では現場は大混乱です。混乱しうるということは事故が起こる可能性が増えます。

ですから、なるべくリスクを減らすために【あえて管理を簡略化】することが重要です。一番最悪なケースは【予約したケーキが渡せないこと】です。もし予約したケーキが当日なければ

そのお客様は今後二度とこのお店には来ないでしょう

きっととても悲しい思いをすることにもつながります。ですからそんなミスがないことが一番大事です。

メッセージは基本NG
→これも上記の 予約のケーキと通常販売のケーキは分けないにつながるルールです。メッセージがついてしまうと、他のケーキとは別のケーキになってしまいます。つまり管理コストが格段に上がるということです。仮にしっかり管理できていたとしても【メッセージ確認】という時間と手がかかる作業が増えます。作業が増えるということは【時間がかかる】【ミスが増える】となります。平常時なら快く対応しますが、残念ながら超高稼働です。

お客様
お客様

「あれ?家に帰ってよく見てみたら孫の名前が違う…」

なんてことになったら…やはり信頼を大きく失ってしまうでしょう。お客様も悲しい思いをします。ですから、リスクが高いため、メッセージは非対応としていました。

クリスマスだけど誕生日ケーキが欲しい!という方は実は結構います。ですからメッセージ希望される方は多いのですが、こういった理由からお断りしているということになります。

このように【普段は想定されないミスに対応するためのクリスマスルール】をいくつか決めて、あとはひたすらにケーキを運び続けます。

あれだけ頑張って作ったケーキがあっという間に売れていくのは
見ていてとても気持ちがいいというか爽快かつ幸せな気分になります!

大男
大男

「作った分だけ売れていくのはやはり作り手としてうれしいものです^^」

すきを見て翌日のケーキを作成

もちろん一日中売れ続けるわけではなく【ピークタイム】があるので、落ち着く時間があります。そうしたらすぐに翌日のケーキ準備を始めます。ここで油断していると「家に帰れなくなります🤣」ここが正念場です!

気持ちが切れないように頑張って仕上げをしていきながら、追加のケーキを作っていきます。そして閉店後、翌日のケーキ仕上げが終わったら…

帰宅です!!!お疲れさまでした~~~!

初年度のクリスマスは帰宅時間が深夜1時過ぎでした…😂泥のように眠り、残り一日も働きます。

ただし、やはり最大のピークは24日です。比べると25日は7~8割ほどの稼働になります。また、クリスマス最終日なので翌日は平常時に戻ります。その日のケーキの準備が終わればおしまいです。

25日も大きな流れは24日と一緒です。最後までミスがないようにケーキを仕上げて、そして閉店時間!床に引いた段ボールを回収して

年間最大の売上・販売数を上げてクリスマス営業は終了します

以上が、ケーキ屋のクリスマス営業の紹介でした。とっても忙しくてめちゃくちゃ大変ですが、それでもクリアした後の充実感・達成感は経験した人にしかわからないものです!

私にとって【あー俺パティシエになったんだな~】という実感が一番湧いたのが、クリスマスでした。それほどにクリスマス営業は特別な体験でした。15年たった今でもそう思います😎

まとめ

いかがでしょうか。

今回は 【全3回】シェフパティシエが教える!Xmasの仕事①後編[ケーキ屋の場合]【クリスマス】 として解説していきました。

今の自分があるのも、1年目のクリスマスを超えることができたからだと思います。まさに

パティシエキャリアの登竜門が【クリスマス営業】なのではないかと!これでやっと一人のパティシエとして製菓業界に入ることができたのではないかと思います。

正直めちゃくちゃ大変ですが大きくレベルが上がります!
これから体験するであろうパティシエの卵たちはメンタル面・スキル面の向上のためにも、ぜひクリスマス営業を乗り越えていただければと思います。そして一緒にこの素敵な業界を盛り上げていきましょう!👍

この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪

 

それでは!

コメント

タイトルとURLをコピーしました