どうも!
某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。
こちらのサイトは
- これからパティシエになりたい人
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- スイーツに興味があるみなさん
そんな方々に少しでも役に立つ
有益な情報を伝えていけたらと考えています😆
今回のテーマは
【全3回】シェフパティシエが教える!Xmasの仕事②[レストランの場合]【クリスマス】
パティシエの仕事で年一番の忙しさを誇るのが皆さんご存じの【クリスマス】です。
ケーキ屋さんではクリスマスケーキ販売、レストランやホテルではクリスマスディナーのデセール準備、少しずれますが貸切バンケットでは年末年始の忘新年会
特に今年はコロナ禍のリベンジ消費や曜日回りが良かったこともあり、過去最高売上・計上利益を出すお店も少なくありませんでした。
家族利用でも・友達利用でも・恋人利用でも需要があるクリスマスですが、自分がパティシエを目指した時に
- 具体的にどう忙しいのか
- 大変ってイメージはあるけど何が大変なのか
- いつ頃から準備が始まるのか
具体的なことは何もわかりませんでした。そこで!これからパティシエを目指す皆さんの役に立てるように実際の私の体験談や現状のクリスマス営業への臨み方を参考にしていただければと思います。
今回は3部構成です😎
話したいことがたくさんあるので、それぞれトピックに分けて解説を行います。
- ケーキ屋さんのクリスマス営業の場合
- クリスマスコース・レストラン営業の場合
- 年末年始の忘新年会の場合
今回はパート2【 クリスマスコース・レストラン営業の場合 】 についての解説です。
実際に経験した私の体験談をもとに話していきます。
レストランでのクリスマスは全部で5~6年経験していますが、今回は直近で働いているイタリアンレストランでの経験をもとに解説していきます。
パート1【ケーキ屋さんのクリスマス営業の場合】はこちらからどうぞ!
普段と違う!Xmasでのレストラン営業とは
まずはレストラン全体の話をします。
レストランのクリスマスディナーはほぼ100%カップル&夫婦向けの通常よりも高級なコース提供になります。クリスマスは特別な人とデートか家族と一緒に自宅で楽しむか。どちらかが「皆さんのイメージするクリスマス」ではないかと思います。レストランは【非日常】を楽しむ場所なので、クリスマスのようなイベントにも多く利用されます。そしてほかのイベントと違い、クリスマスには普段より【ハイグレードなもの】を求められるので、普段より高級感を感じるような構成にして顧客要望に応えます。
通常時のメニューやコースは一切出さずにクリスマスだけの特別コースでの対応になります。
そのため、地域やエリアによりますが、約¥10,000~¥15,000前後のクリスマスコースを提供するお店が多いです。(もちろんこれより安価だったり、高級な金額のコース・プランもあります)
普段は客単価¥3,000~¥5,000、料理も大皿提供(取り分けるシェアスタイル)のカジュアルなお店も、高級な食材やこだわって作った特別な料理をパーソナル(1人1皿のスタイル)対応で行います。
元々客単価¥10,000前後の高級路線なレストランであれば、基本的な提供スタンスは一緒なのであまり問題はありません。
ですがにぎやかな店内でカジュアルな料理提供を行っているお店は
クリスマスの数日間のみ【全く違う営業スタイル】になります
これは厨房もそうですが、ホールも同じく慣れない営業スタイルとなりますので、それぞれ負荷がかなり大きいです。
料理も普段と全く違うもの。イタリアンですがピザやパスタは出しません。提供スタイルもどちらかといえばフレンチスタイル。となると
- サービス
- 接客
- 料理説明
- 予約の取り方
- 店の雰囲気
すべて違います。もはや違うお店ですね…!
ですから、しっかりとした事前準備・年に一度のOPの構築が重要になります。
「今回は割愛しますが、ホールサイドの予約の取り方・管理・席の開放・当日のOP構築もとても大変です!」
年末年始の高稼働+クリスマスの高稼働の仕込み・発注・営業を同時にこなす
さらに、12月後半ということもありレストランは繁忙期に突入しています。12月になると仕事納め・年内最後の会食・飲み会など飲食店全体の需要は高まります。体感では平常時の1.2~2倍の売上稼働になります。
さらに年末が終わると、今度は年始の正月休みの高稼働が待っています。特に有名な神社や初売りスポットの近くでは、初詣や買い物が終わった後に
「せっかくの正月休みだから、何か美味しいものでも食べようか」
と外食を選ぶ人が増えます。普段来ない人たちも来てくれるので、お店は大繁盛となります。
稼働が上がるということは、普段よりも多くの仕込みや準備・発注をしなくてはいけないということです。そこに追加してクリスマス用の特別な仕込み・発注・皿や備品準備を並行して行うため、事前の段取りや仕事量が普段の何倍にも増えます。
仕事において、段取りや事前準備はとっても重要です。特にパティシエはその場で完成させるものよりも、仕込みや準備がなくてはならないものが多いので、【業務の段取り・計画】は必要不可欠です。
ですが、ただでさえ忙しい12月に予定を立てようとすると、中々うまくいきません。当然です、普段より忙しいということはその分精神的・肉体的なゆとりや時間の余裕がないからです。そのため、忙しくなる前に事前に考えていく必要があります。
というわけで遅くとも12月に入る前には、ある程度の事前準備や段取りをしっかりと行う必要があります。スケジュールに関しては、これは経験者でないと分からないことなので、初めての年末年始・クリスマス営業に臨むスタッフは「え?こんなに早くから準備しなくてはいけないの?」と驚くことが多いです。
私もはじめのうちはイメージがわかなかったのですが
実際に自分がシェフになり、仕込みや準備を指示・段取りしていくと【いかに事前準備や計画が大事か】
ということが身にしみてわかるようになりました🤣
準備の始まりは8月~
ではいつごろから準備が始まるのでしょうか。お店や会社によりますが、クリスマス準備の始まりはなんと8月頃になります。夏です。夏真っ盛りにクリスマスの準備は始まります。
「そんな早いの!?意味あるの!?」
という声が上がりそうですが、黒板メニューやスポットメニュー(短期的に出すメニュー等料理内容だけを決めるメニュー)と違い、グランドメニューやプランの打ち出しには様々な準備があります。
- メニューの名前・ラインナップ・コンセプト・金額の確定
- 試作や試食・原価計算・食材・食器の選定
- メニュー写真撮影
- メニューPOP作成依頼・データ入稿・校正
- web掲載準備・媒体の特集に合わせた掲載の優先順位設定等
- 予約販売数の確定・それに合わせた材料準備・発注
と上記はあくまで最低限のものですが、これだけの準備が必要です。
そしてそれぞれの工程には【リードタイム】があります。
リードタイムとは一般的には商品の発注から納品に至るまでの生産や輸送などにかかる時間のことを言います。
広い意味でのリードタイムとは、各工程の始まりから終わりまでかかる所要期間を意味しますので、リードタイムの長さは、業種や作業を細かく区切り、どこからどこまでの工程にするかによって異なります。
引用:リードタイムとは|物流用語辞典|株式会社関通
例えばメニュー写真撮影を例にしてみます。
- メニュー確定
- 料理の盛り付け
- 皿
- カメラマンの手配
- 材料発注
- 仕込み
- メニュー写真のコンセプト・系統のリサーチ等(デザイナーお任せの場合は除く)
と、たくさんの準備と時間が必要です。カメラマン手配は最後だとしても、依頼や納品に1~2週間かかります。このようにそれぞれ一つ一つ時間がかるので、それぞれの計画・予定を逆算してスケジュールを計画していきますが、逆算していくと8月頃にスタートしないと間に合わないということになります。
徹夜して朝まで仕込み!でも今年は…
そして、レストランですから当然料理・デザートの味にもこだわります。普段の2倍近い金額をとるわけですから、その分手間がかかったり、仕込みが複雑なものを作ります。仕込みの種類は仕掛けるいくつかのタイミングに分けて考えます。
- 3日以上前に準備してもいいもの
- 前日に仕込まなくてはいけないもの
- 当日準備するもの
普段なら冷凍してストックしておくものも【焼きたて・作りたての方がおいしいから】という理由だけで前日の深夜や当日の提供20分前に仕上げるものもあります。
なんといってもクリスマスは年に一度のお祭りです
よく【クリスマス・苦しみます】なんてことを言う愚かな人がいますが、楽しんで仕事をするのと辛くて苦しくて仕事をするのはどちらがいいのか明確です。
どうしてもサービス業なので忙しい時はあります。クリスマス営業の2~3日間は普段の2倍の人数のお客様を2倍の金額で満足してもらわなくてはいけないのですから。
つまり4倍忙しいんです
当然大変ですよね、楽とは言いません。サービスビジネスである以上繁忙期はあります。仕方がないです。であれば、「年に一度の忙しいお祭りだ!」と割り切って楽しんでイベントにしてしまった方が、建設的ではないかと私は思います😎
ですから私は【クリスマス辛いよね】ではなく【今日も仕込みパーティーだ!頑張ろう!👍】と前向きな空気作りを心がけています。(もちろん、頑張った分は正月明けに思いっきり休んだり・オフシーズンに遊んでゆっくりします!)
そのため、例年では
クリスマス仕込みは自分ひとりで22日の深夜~仕込み。
23・24日は徹夜して準備・営業といったスーパーパティシエ社畜モードで対応していました
理由は単純で
【なるべくギリギリのタイミングで作って、美味しいものを届ける】
ということを突き詰めた結果です🤣
ものによりますが、出来立てに勝るものはないです。ですから特にクリスマスはなるべく出来立て・作りたてのおいしい状態での提供を心がけています。(ちなみに今年は段取りがうまくいき、徹夜することなく終わることができました!)
クリスマス当日の労働時間は長かったですし、手間がかかるものを作りました。ですがクリスマスにうちの店を選んでくれたお客様に最高の状態でデザートが食べることができるようにした結果なので、必要な時間だったと思います。
おかげで今年もほぼ完食!残飯率の低いデザート提供ができました。毎年大変ですが、パティシエとしては当然の仕事なのではないかと思いますし、シェフパティシエとしてのプライドを持った仕事の結果なのではないかと思います😎
まとめ
いかがでしょうか。
今回は 【全3回】シェフパティシエが教える!Xmasの仕事[レストランの場合]【クリスマス】 として
の解説を行いました。
毎年大変ですが、それでも普段できないような特別なデザートを作ることができるので、毎年クリスマスを楽しんで仕事をしています。
自分の部下にも【クリスマスは苦しみます】ではなく楽しんで仕事ができるようなマインドを持ってもらえるように・そんな気持ちになれる職場作りができるように努力していきます。
この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪
それでは!
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