【全3回】シェフパティシエが教える!Xmasの仕事③[貸切バンケットの場合]【クリスマス】

パティシエになるには

どうも!

某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。

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今回のテーマは

【全3回】シェフパティシエが教える!Xmasの仕事[貸切バンケットの場合]【クリスマス】

パティシエの仕事で年一番の忙しさを誇るのが皆さんご存じの【クリスマス】です。

ケーキ屋さんではクリスマスケーキ販売、レストランやホテルではクリスマスディナーのデセール準備、少しずれますが貸切バンケットでは年末年始の忘新年会

特に今年はコロナ禍のリベンジ消費や曜日回りが良かったこともあり、過去最高売上・計上利益を出すお店も少なくありませんでした。

家族利用でも・友達利用でも・恋人利用でも需要があるクリスマスですが、自分がパティシエを目指した時に

  • 具体的にどう忙しいのか
  • 大変ってイメージはあるけど何が大変なのか
  • いつ頃から準備が始まるのか

具体的なことは何もわかりませんでした。そこで!これからパティシエを目指す皆さんの役に立てるように実際の私の体験談や現状のクリスマス営業への臨み方を参考にしていただければと思います。

今回は3部構成です😎

話したいことがたくさんあるので、それぞれトピックに分けて解説を行います。

  1. ケーキ屋さんのクリスマス営業の場合
  2. クリスマスコース・レストラン営業の場合
  3. 年末年始の忘新年会の場合

今回はパート3【貸切バンケットの場合 についての解説です。

クリスマス営業はブライダルや貸切バンケットはあまり関係がありません。そこで今回は【年末年始営業】にフォーカスして解説します。

パート1【ケーキ屋さんのクリスマス営業の場合】はこちらからどうぞ!

パート2【 クリスマスコース・レストラン営業の場合】はこちらからどうぞ!

貸切バンケットの年末年始

年末年始は稼ぎ時!

年末年始といえば、イベントが盛りだくさんのシーズンです。

  • 忘年会
  • 新年会
  • 成人式
  • 年末イベント・ファンミーティング・ディナーショー等

特に上2つの【〇〇会】といった人数が多く集まる会が【会社主導】で開催されやすい時期です。そのため人数が多く集まれる貸切会場の需要が高い時期です。

また成人式は、小学校・中学校卒業後に初めて行われる【超大型の同窓会】が開催されやすいタイミングです。「成人式の後に折角だから集まろう!」と大人数が集まる会場は、普通のレストランや居酒屋ではカバーしきれず、しかもここだけの話嫌がります。(余談ですが年齢層は全員が20歳の団体です。そのため比較的宴会も社会人の団体に比べ「荒れやすい」ので、物を壊されたり、汚されたりするのでお店としては嫌がります😅)

ということで平常時よりも需要が高まります。売上は平常月の2~3倍になります!つまりその分利益をしっかり出さなくてはいけない・失敗できないタイミングということになりますので、入念に準備・対策をして臨まなければいけません。

仕込みは徐々に増やしていく

貸切ではレストランや個人店と違い、時間に対する人数の桁が違います。タイミングによってはわずか2~3時間で400人を超える料理・デザートを出さなくてはいけない日もあります。ですから準備もしっかりとしなくてはいけませんが、12月に入ってから準備しては間に合いません。月間で何千~何万人分の料理・デザートが必要なので、10月の頭から少しずつ準備します。

仕込みや営業のペースを急に大きく変えることはできません。ですから【ちょっとずつ予備を蓄えていく】というイメージになります。

例えば、貸切デザートでムースを出すとします。1週間に250個仕込む予約人数分の小さなムースです。予定客数は10月&11月1,000人 12月2,000人とします。

10・11月は仕込みは週に250個作れば特に問題はありません
【250個×4週間=1,000個】

ですが12月の高稼働時は2,000人だとすると、なんと週に約500個必要です!
【500個×4週間=2,000個】

いきなり12月だけおよそ2倍の量を仕込まなければいけませんが、1か月だけ急に人を増やしたりすることは難しいです。特にパティシエのような専門技術職はなおさらです。このままでは間に合わせるために無理な労働をすることになります。そこで対策を立てます。

仕込み量の調整を逆算して段取りをしていきます

具体的には

  • 10月は週250個→300個
  • 11月からは週に250→350に変更

すると12月に入る前に合計約600個の予備ができます。この予備分を【バッファ】といいます。

「バッファ」は、「余裕」「緩衝」という意味で使われることが多い言葉です。

引用:「バッファ」の意味とは? 業界別の意味や使い方を例文つきで紹介 | ビジネスマナー | ビジネス用語 | フレッシャーズ マイナビ 学生の窓口

すると余裕をもって目標数の2,000個準備することができます。

10月【300個×4週間=1,200個-必要数1,000個=200個】
11月【350個×4週間=1,400個-必要数1,000個=400個】
12月【350個×4週間=1,400個+600個=2,000個】

仕込みの負荷は1.2倍~1.4倍なのでそこまで負荷が高いわけではありません。仮に途中で予約が急増しても、仕込みを増やすタイミングを早めるだけで対策が取れます。後は予約状況を確認しながらしっかり少しずつ準備していけば問題なく対応できるはずです。

この【徐々に増やしていく】というのがポイントです。冷凍賞味保管は、特別な包装や保管をしない限り1か月くらいから品質が落ちていきますから、極端な話

【半年前に大量仕込み!】などやってしまうと【半年後の高稼働時に品質の悪いものを提供する事】になってしまいます。

また、管理し続ける必要があるので、冷凍庫スペースや食材管理などの【管理コスト】も嵩んでいきます。まさに【無駄なコストをかけて質の悪いものを保管する】ということにつながるわけです。

対面でない仕事の場合(製作者が直接顧客に合わない場合)は、ついついこういったことをしてしまいがちですが【結果お客様は離れていきます】だって美味しくないものですからね…良いことも悪いことも、お客様には通じてしまうものです。

食品を扱う以上、衛生的には問題がなくても賞味期限・鮮度は気にしなくてはいけません。

ちなみに、鮮度を長持ちさせるガジェットもあります!それが以前紹介した【真空機】です。冷凍焼けのリスクが下がるので、賞味期限が長くなります。

真空機についてはこちらからどうぞ!飲食業では必須の機材です😎

生産性の高い商品でのラインナップに

味や見た目ももちろん重要ですが、特に繁忙期は【生産性の高いもの】を重視します。具体的に説明します。

例えばショートケーキをビュッフェに出すとします。普段は丸いショートケーキをカットして出しているとします。ビュッフェ用で小さく切るとしても1台からとれる個数が20個だとします。100個準備するには5台のショートケーキが必要です。
【20個×5台=100個】

そこで丸→四角のショートケーキに変更します。四角の場合、大きな1台が作れるので、1台で50個とれるサイズに調整できます。すると準備する台数が2台で済みます。
【50個×2台=100個】

それぞれ1台作る時間が同じ場合、このように時間を減らす工夫をすることができます。必要個数が増えるほど、より大きく差が出てきます。

他にも

  • 一回で仕込める量が多いもの
  • カットの必要がないもの
  • 原価が上がるが、歩留まりが高いやり方・方法
  • 洗う必要がある容器→一部使い捨て容器に変更

など、様々な方法があります。全体バランスとして見た目や味のクオリティー、原価と相談しながら最適解を見つけていくことが重要です。

最近では高クオリティ!既製品での対応

ですが、ストックスペースや日々の営業稼働によってはなかなか準備がうまくいかない場面もあります。そもそも通常稼働時でも、1人あたりで仕込める量を大幅に超えて予約が入ってしまう場合もあります。昔なら

気合と根性!休みいらない!社畜魂!

となっていましたが、時代は変わっています😅過剰な残業や長時間労働は飲食業とはいえ認められません。そこで、【すでに出来上がっているケーキを発注してしまう】という選択肢があります。いわゆる【出来合い=既製品のケーキ】というものです。

ホテルのビュッフェやパティシエがいないレストラン・外食ではこの「出来合いケーキ」をよく使います。プロのパティシエが見ると一目でわかります。

大男
大男

「外食に言った時、見ると分かってしまうので【あーこのケーキ原価**の〇〇メーカーのやつだ】となってしまいます、パティシエあるあるですね(;^_^A」

ですが、最近の既製品ケーキは昨今の働き方改革の影響もあり需要が高く、クオリティも上がってきています。

【中にはほとんど手作りクオリティのケーキやグッズを、既製品として販売しているメーカーもあります】

名前は言えませんが某有名ケーキ店も**は業者に発注したりしています。それほど「手作り」のハードルが上がってきているということです。ただし、それ自体は悪いことではないと私は思います。

既製品のケーキや材料については後日記事作成をします。

このように、うまく既製品を利用したり仕込みの段取りを工夫して、繁忙期に備えていくというのが流れになります。

まとめ

いかがでしょうか。

今回は 】シェフパティシエが教える!Xmasの仕事[貸切バンケットの場合]【クリスマス】 として

解説を行いました。

金額・売上のインパクトが大きい【貸切バンケット】

中には年末年始で1店舗で1億売り上げる店舗もあります。すごい!

そんな超高稼働を営業するためには、しっかりとした事前準備・計画・段取りが必要なことを覚えていただければと思います。

この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪

 

それでは!

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