【全3回】マネジメントの基本!パティシエの現場での実例紹介その2【PDCA】

パティシエとビジネス

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【全3回】マネジメントの基本!パティシエの現場での実例紹介その2【PDCA】

以前、投稿した記事で、PDCAサイクルについて説明しました。

概念の説明は行いましたが、こういった手法関係は【実際にやってみた時】に初めて自分のものなります。アウトプットが大事ということです。

というわけで、いくつかイメージしやすいようにパティシエの現場で行った改善例・PDCAサイクルの例を紹介します。

  • 事例1:毎日の仕込みが終わらなくて、従業員の就業時間が長くなってしまう
  • 事例2:より効率よくジェノワーズを焼きたい
  • 事例3:ムースの仕込みの生産性を上げたい

こちらの具体例を見てイメージができたら、実際に自分でもやってみてください。そうして体系的に学ぶと「あ〜こんなかんじでやっていくんだな」と経験値がたまり、他のメソッドや手法を使うときにスムーズにスタートできるとおもいます。

長くなるので、それぞれ3回に分けて解説していきます。

ちなみにおさらいといて、簡単に説明したのが

PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)とは品質管理など業務管理における継続的な改善方法。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の4段階を繰り返して業務を継続的に改善する方法。

PDCAサイクル – Wikipedia

今回は事例2の解説に入ります。

かなり長くなってしまいましたが、思考の流れを細かく書いているので、理解しやすいかと思います。

しっかりと自分に落とし込んでいきましょう。

事例1はこちらから

事例2:より効率よくジェノワーズを焼きたい

日本のケーキ屋さんでは切っても切り離せないのが【ジェノワーズ】

いちごのショートケーキやロールケーキ。ムースの底生地など様々な使用ケースがあります。

それぞれのお店が独自の配合で作っていますが、その分【どうしたら効率的に焼けるか】がお店の生産性を左右する重要な点かと思います。

例で【ジェノワーズ】と書きましたが、焼き物系の仕込み段取りの考え方として共通する点はありますので、参考にしてみてください。

今回はより効率よくジェノワーズを焼きたいのが目的です。目的を達成するために細分化した結果

  • オーブンをなるべく休ませない
  • 手の空いた時間を作らないようにする
  • 全ての材料を一気に計量してはいけない
  • 都度洗う器具・そのまま連続使用する器具を明確に

私の場合は上記4点を改善して達成しました。それぞれPDCAサイクルを回した結果の答えですので、考えの流れを解説します。(様々な作り方や補強材はありますが、今回は【卵は共立て】【ミキサーは大型の20〜30クォート】にしぼっています。)

オーブンをなるべく休ませない

焼き菓子に共通する考え方ですが、【いかにオーブンを休ませないようにするか】は生産性の重要な点です。正確に言うと【何も焼いていない時間を少なくする】ということになります。

例えばある生地を毎日4回戦仕込むとします。必要な焼成時間が30分だとして、40分に1回戦仕込むのと30分に1回戦仕込むのでは、生産性に大きく差が出ます。

当然ですが、どちらも2時間仕込むと30分のほうが1回戦分多く仕込めます。毎日積み重ねていけば、1週間で約5時間分の差が出ます。これは大きいですよね。

そのため、1回戦目の生地が焼けたらすぐに2回戦目の生地が焼けるように工夫しなくてはいけません。2回戦目が終わったら3回戦目…と続いていきます。

焼く生地の種類が変わっても同じです。

【なるべくオーブンの焼成時間のインターバルを空けないようにする】

言うのは簡単ですが、具体的にどうするかの例を上げていきます。

PDCAサイクルの段階としては

P→より効率よくジェノワーズを焼きたいので、オーブンを休ませないようにする
D→同じ方法でオーブンを休ませないことを意識して頑張ってやってみる
C→あんま変わらない(気合だけには限界がある)なぜ早くならないか具体例を出して改善しよう
A→イマココ

こんな感じで、流れを箇条書きしていきます。(わかりにくかったらすいません…)

手の空いた時間を作らないようにする

例えば、ジェノワーズを作る手順を簡単に書くと

  • 計量
  • 卵を温める
  • 卵をミキサーでたてる
  • 小麦粉をふるう
  • バターを溶かす
  • 型を準備する
  • 生地を混ぜる
  • 生地を分割する
  • 焼成
  • 器具を洗う
  • 焼けたら型から外す

となりますが、1回1回順番にやっていたら、いつまで経っても終わりません。その為には手順を細分化して、同時進行で行える箇所と事前に行える箇所、手が離せない箇所(時間が絶対にかかる箇所)に分けます。

手が離せない箇所は【生地を混ぜる】【生地を分割する】【焼成】【焼けたら型から外す】となります。(焼成はオーブンの焼く時間を増やしたり減らしたり出来ない・という意味です)

つまり上記4ポイントの時間は一定以上減らしたりすることが出来ないので、他の作業時に何をどのような段取りで行うかが重要になります。

例えば

【バターを溶かしながら型を準備する】

【卵をたてながら型を準備する】

など、同時進行出来る箇所は同時に行えば時短になります。

小女
小女

「あ、時間空いた。ぼ〜っとしよ^^」

この考え方はNGです。いつまで経っても早くなることはありません。

また事前に出来ることはやってしまうのもGOODです。

例えば

【卵の計量はまとめて行う】

【次の回戦の卵やバターを温めておく・溶かしておく】

など、先倒し出来ることは事前に済ませてしまいましょう。

PDCAサイクルの段階としては

P→より効率よくジェノワーズを焼きたいので、オーブンを休ませないようにする
D→同じ方法でオーブンを休ませないことを意識して頑張ってやってみる
C→あんま変わらない(気合だけには限界がある)なぜ早くならないか具体例を出して改善しよう
A→具値例を出して、ピンポイントに改善を行ってみる

P→上記で出した具体例に沿って改善を行う
D→【手の空いた時間の削減】を行ってやってみる。
C→40分かかっていたのが30分で仕込みが出来た
A→改善の方向が正しかったので、他にも「同時進行」「事前に行う」事ができるか検証する

P→イマココ

わかりやすく、文字の大小でPDCAサイクルの進行度を表しています。

全ての材料を一気に計量してはいけない

上記の説明をすると

【よし!じゃあ今日仕込む材料はまとめて計量してしまおう!】となりがちですが、これは違います。

しっかりとそれぞれの工程にかかる時間を計算して、時間がショートしないように必要な材料だけ計量する

これが正解です。

勿論事前に全て計量しても良いのですが、特にジェノワーズの場合、卵を立てるのに時間がかかります。その時間がロスに為りやすいです。

であれば、事前に計量するのは「卵・バター」だけにして、残りは卵を立ててる間に計量すれば、そこでも時短になります。

さらに場所問題もあります。

たしかに全部計量すると後は楽ですが、その分計量した材料を置く場所・スペースも使い、計量したボール・タッパーなど使います。結果スペースが少なくなって作業効率が落ちたり、洗い物が増えてしまったりします。

ですから、一度各工程にかかる時間を測ったり、仕込みに使う適切な広さの把握をして、最適なバランスに見極める必要があります。 

PDCAサイクルの段階としては

P→より効率よくジェノワーズを焼きたいので、オーブンを休ませないようにする
D→同じ方法でオーブンを休ませないことを意識して頑張ってやってみる
C→あんま変わらない(気合だけには限界がある)なぜ早くならないか具体例を出して改善しよう
A→具値例を出して、ピンポイントに改善を行ってみる

P→上記で出した具体例に沿って改善を行う
D→【手の空いた時間の削減】を行ってやってみる。
C→40分かかっていたのが30分で仕込みが出来た
A→改善の方向が正しかったので、他にも「同時進行」「事前に行う」事ができるか検証する

P→「事前に行う」の代表例で「事前に材料の計量をして仕込み」を行う
D→計量をすべて終わらせてから仕込みを行ってみる
C→仕込みに関しては問題はないが、【スペースが狭くなる】【計量した容器の洗い物が増える】と新しい問題が浮上する
A→上記の問題を改善する

P→【スペースが狭くなる】問題の解消。全部まとめて計量するのではなく「邪魔にならない、必要な分だけ事前計量」をする
D→時短になるけれどスペースを取らない事前計量を行う
C→スペース問題は解消。事前計量するものが減るので、計量した容器の洗い物も減る
A→イマココ

都度洗う器具・そのまま連続使用する器具を明確に

上記に付随して、特に焼菓子には使えるテクニックです。

例えばバターを溶かす鍋。毎回洗わなくてもその仕込みの間に、余分なものが入っていなければすぐ使えますよね。

また、ミキサーのホイッパー部分。粉やバターが付いていなければもう一つミキサーボールがあれば、外した瞬間に次の卵を立てるためにセットしても問題ありませんし、時短になります。

このような同じ工程を繰り返す物は、器具の使う順番や使い方を意識すれば、最後に一回洗うだけで十分なものがあります。

勿論、長時間おいておくと乾燥したり、同じ状態で使うと次の仕込みに悪影響するものは大人しく洗ってください。

例えば粉を混ぜるときに使ったカードや、ココア入り小麦粉を振るった後にプレーンのジェノワーズ用小麦粉を振るう網

これらは洗わないと道具に残った生地が乾燥してしまったり、プレーン生地に少量ココアが入ったりするので注意です。

小さいことですが、こういった細かい気遣いと工夫をしていくと、生産性や効率が良くなっていくのではないかと思います。

PDCAサイクルの段階としては

P→より効率よくジェノワーズを焼きたいので、オーブンを休ませないようにする
D→同じ方法でオーブンを休ませないことを意識して頑張ってやってみる
C→あんま変わらない(気合だけには限界がある)なぜ早くならないか具体例を出して改善しよう
A→具値例を出して、ピンポイントに改善を行ってみる

P→上記で出した具体例に沿って改善を行う
D→【手の空いた時間の削減】を行ってやってみる。
C→40分かかっていたのが30分で仕込みが出来た
A→改善の方向が正しかったので、他にも「同時進行」「事前に行う」事ができるか検証する

P→「事前に行う」の代表例で「事前に材料の計量をして仕込み」を行う
D→計量をすべて終わらせてから仕込みを行ってみる
C→仕込みに関しては問題はないが、【スペースが狭くなる】【計量した容器の洗い物が増える】と新しい問題が浮上する
A→上記の問題を改善する

P→【スペースが狭くなる】問題の解消。全部まとめて計量するのではなく「邪魔にならない、必要な分だけ事前計量」をする
D→時短になるけれどスペースを取らない事前計量を行う
C→スペース問題は解消。事前計量するものが減るので、計量した容器の洗い物も減る

A→問題改善は完了だが【洗い物が増える】問題を深掘入りして改善する

P→仕込みや衛生環境に影響がない範囲で「洗い物を少なくして、工数削減を行う」
D→商品に影響がない範囲で、手数を削減する
C→洗い物回数が減り、商品品質にも問題はなく時短になる
A→イマココ

と、こんな感じで改善を繰り返していきます。終わらないマラソンみたいですね…

まとめ

いかがでしょうか。

今回は【全3回】マネジメントの基本!パティシエの現場での実例紹介その2【PDCA】として解説を行いました。

文章にするととっても長いですが、やることはそこまで複雑ではあリません。ただ漠然と仕事をするのではなく【しっかりと流れ考えた上で改善を行う】のが重要です。

以前書いたようにPDCA自体にはスピード感はありません。今向きではないです。よく「PDCAの高速回転」なんて言いますが、この現代においては【とにかくやること】が重要です。

そしてやるためにはしっかりと理解が必要です。理解を深めて、意識しなくても行えるように自分にしっかりと落とし込みましょう。

事例3はこちらの記事をどうぞ!

この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪

 

それでは!

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