どうも!
某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。
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今回のテーマは
【全3回】マネジメントの基本!パティシエの現場での実例紹介その1【PDCA】
以前、投稿した記事で、PDCAサイクルについて説明しました。
概念の説明は行いましたが、こういった手法関係は【実際にやってみた時】に初めて自分のものなります。アウトプットが大事ということです。
というわけで、いくつかイメージしやすいようにパティシエの現場で行った改善例・PDCAサイクルの例を紹介します。
- 事例1:毎日の仕込みが終わらなくて、従業員の就業時間が長くなってしまう
- 事例2:より効率よくジェノワーズを焼きたい
- 事例3:ムースの仕込みの生産性を上げたい
こちらの具体例を見てイメージができたら、実際に自分でもやってみてください。そうして体系的に学ぶと「あ〜こんなかんじでやっていくんだな」と経験値がたまり、他のメソッドや手法を使うときにスムーズにスタートできるとおもいます。
長くなるので、それぞれ3回に分けて解説していきます。
ちなみにおさらいといて、簡単に説明したのが
PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)とは品質管理など業務管理における継続的な改善方法。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の4段階を繰り返して業務を継続的に改善する方法。
PDCAサイクル – Wikipedia
それではまずは事例1です。
事例1:毎日の仕込みが終わらなくて、従業員の就業時間が長くなってしまう
昨今の働き方改革は飲食業界にもしっかりと影響が出ています。
昔では当たり前だった【長時間労働】【サービス残業】いまでは完全なタブーの時代です。そのため、決められた時間でしっかりと業務を終わらせる・管理することがとても重要になりました。
となると、今までよりも働ける時間が少なくなるということになります。今まで10時間でやっていた仕事を8時間で終わらせなければなりません。
普通に今までと同じ方法を取っていても、以前同様の商品・サービスを提供できないですよね。
ちなみに
【気合と根性でスピードアップする】
私も嫌いではないです😂気合と根性。職人としてのレベルも確かに上がりますが、実際気合で仕事の効率が1.2倍になることは早々ありません。それは単に今までサボっていただけか、本気出していなかっただけです。
そのため、根本的な仕組み改善や工夫が必要です。そのため今回のテーマは毎日の仕込みが終わらなくて、従業員の就業時間が長くなってしまうです。
まずは業務内容に注目しましょう。パティシエは主に仕込みが重要な仕事です。そのため、仕込み時間について改善を行えば、トータルの労働時間の削減に繋がります。
例えば、11:00~23:00営業のレストランでパティシエとして働くとします。
料理人は開店前約1時間前から出勤・仕込みを行い、閉店1時間前のラストオーダーまで働く10:00~22:00が基本のシフト。
パティシエもなんとなく合わせています。ただ、急遽多く使ってしまったデザートのグッズ仕込みや、営業稼働があがり、仕込みプランが崩れてしまったりして、パティシエは10:00~23:30のシフトを行っています。
毎日忙しくてがんばっているのに、長時間労働が嫌になってやめてしまう…よくあるパターンです。改善してみましょう。
ポイントはシフト時間です。なんとなく料理人と合わせているのですが、結果パティシエは長く働いてしまっています。業務量に問題がなければ、原因は仕事のやり方か理由のない「シフト時間」が原因と推測されます。それを変えてみましょう。
店長・料理長と相談しながらPDCAを回してみることにしました。
ちなみに前提として、現状の稼働ではパティシエをもう1人増やすことはできない(パティシエ人件費増加は認められない)とします。
P→シフト時間を9:00~21:00に変更。営業前に一気に仕込みを終わらせることにより、生産性を上げておく。
まずは業務開始時間。【なんとなくみんなで一緒に仕事したほうが】という雰囲気で決めていましたが、実際は【みんなと一緒に出勤して、自分だけ遅く帰る】です。なんか変ですよね。
そこで、まずは出勤の時間を1時間早めてみました。こうすると「仕込みの時間」を1時間余分に取ることができます。
特にレストランの場合、営業中の仕込みは難しいです。難しいというか、作業が途中で止まってしまうことが多いです。これはケーキ屋のパティシエにはわかりにくいところかもしれません。
例えば
「オーブンを使いたい時間に、ちょうどランチのピークタイムで使えない」
「仕込み中にオーダーが入ってしまい、一旦仕込みをストップしてしまうので時間が倍かかる」
こんな事が日常茶飯事です。
なので、営業中は簡単な仕込みや中断しても影響が少ない仕込みを中心にするために、営業時間外で手のかかる仕込みを先にやってしまおう。という作戦です。
D→実行
プランは決まりました、なので実行してみます。
実際早く来るので、仕込みの時間がしっかりと確保できます。仕込みが捗るので業務も安定。ちゃんと時間内に終わることができるようになりました。
というわけで、「時間内に業務を終わらせる」という目標は突破できたことになります。
これで一安心…とおもいきや、料理長から相談が来ます。じつはこの改善にはちょっとした問題があるのです。
C→業務時間の改善には繋がったが、パティシエが早く上がる分、厨房への負担が大きくなってしまう
「最近パティシエが帰った後のオーダー処理で料理人が残業していて大変なんだ。なんとかならないかな?」
パティシエの仕込み業務に関しては問題なく終わるようになりました。しかし今回のケースは【レストラン】です。レストランは「料理を食べた後にデザートを食べる」お店なので、閉店直前のラストオーダーに近い時間帯は、デザートのピークタイムです。
パティシエは21:00に帰ってしまいますから、その負荷が料理人にきてしまったというわけです。
P→D→ときて、C(チェック)で振り返り、問題が発覚しました。新しい試みや改善はこの【振り返り】をやらないパターンが非常に多いです。ですからなんとなくになってしまい、最終的には風化してもとに戻ってしまう・というわけです。
さて、このまま言うことを聞いて退勤時間を23:00までに延長すると、料理人は救われますがパティシエは社畜街道まっしぐらです。
これでは「頑張る人が報われない」となりますし、今の世の中には合っていない解決法ですよね。
そこで考えます。
A→ピークタイムを比べて、負荷の高い方に着目する
今度は「ランチタイム」「ディナータイム」の、パティシエの必要度を調べました。
するとこの店はランチタイムには、デザートはランチ専用のすぐ盛り付けるだけの簡単な物の提供でした。
むしろ営業中はデザートを作るよりも、ホールを手伝ったり、洗い場のヘルプに入ることが多い・つまり【パティシエではなくても出来るものが多い】ということになります。
一方ディナー帯は、コースやアラカルトメニューが多く、パティシエの技術が必要なメニューやオーダーが多いようです。
そのため、ディナー帯はコースのデザート準備やオーダー用の毎日使うパーツを作るような【パティシエでなくては出来ないことが多い】ということになります。
そこで、パティシエのシフト時間を13:00~24:00に変更しました。
ランチ帯のパティシエ業務は【誰でも出来る仕事】ですので、店長や料理長に相談してアルバイトを増やしたり、ポジションの工夫で対応してもらいます。その代わりパティシエ需要の高いディナー帯は、しっかりとメニュー準備を行い、ラストオーダー後の2時間で仕込みを行うようにしました。
すると、
- 料理人に変な負荷をかけずに
- 労働時間は1時間減らし
- 仕込みはしっかりと間に合わせることができる
といった改善が行えました。
あくまで上記の例は一例ですから「終電が〜」とか「あまり夜遅いのは〜」とかあるでしょうが、そこはまたPDCAサイクルを使い、改善を行っていけば良いです。
いきなり全てを一気に変えてうまくいくことは出来ません。少しずつ、小さな改善を繰り返すことにより、より良くなっていくものです。この「繰り返す・終わらせない」というところが大事なポイントです。
まとめ
いかがでしょうか?
今回は【全3回】マネジメントの基本!パティシエの現場での実例紹介【PDCA】として
に関しての改善例の紹介を行いました。
あくまでこういったメソッド関係は【事例を覚える】のではなく【考え方を身につける】ことが重要です。
そして、何度も繰り返して実践(アウトプット)しないと身につきません。だからこそ、世の中にはこういったビジネス論やマネジメント論が溢れています。
まずは第一歩として、小さな改善始めてみましょう。
事例2はこちらからどうぞ!
この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪
それでは!
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