どうも!
某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。
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今回のテーマは
トレンドスイーツ考察企画♪話題の映えスイーツ「ショートケーキ缶」シェフパティシエから見た考察
今話題の【ショートケーキ缶】自販機からスイーツが出てくる・見た目が良い・新感覚など、いかにもトレンド商品らしい特徴ですが、実はパティシエ目線としても、理論的に納得・良い点がいくつかあります。
あまり大きな声では言えませんが、
何だこれくそまずいな、こんなのスイーツじゃねえ
というトレンドスイーツ、本当に多いです🤣
ただし、このショートケーキ缶は見た目だけでなく、しっかりと「製菓理論」として、味やお客様に対しての良いところがある用に見えます。(食べたことないので、今度食べに行きます😁)
今回は
- ショートケーキ缶とは?
- シェフパティシエが考える良いところ① 日本人が一番好きなショートケーキにフォーカス
- シェフパティシエが考える良いところ② 「ヴェリーヌスタイル」のいいところ
- シェフパティシエが考える良いところ③ 缶詰め=空気に触れる面が少ない
- 実は考え抜かれた新感覚スイーツ
上記に沿って考察・紹介していきたいと思います。
ショートケーキ缶とは?
2021年の7月、SNS上で話題になったスイーツで、仕掛け人は【札幌市と渋谷区にリゾット専門店と夜パフェ専門店を構える株式会社GAKU】とあります。
リンクはこちら↓
札幌では自販機で販売しているそうで(すごい!消費期限管理難しそう)非常に興味深いです。見た目で騙されがちですが、しっかりとスイーツとしていい面がたくさんあります。
本当にいいアイデアだと思うので、今後もずっと流行って欲しいですね
ちなみに、似た形の容器自体はすでに販売されてます。
別途【蓋をセットするため】の機材が必要なので要注意です。
機材なしで再現するなら、少し前に流行ったジャーグラススタイルになります。
このレシピ本の画像は、イメージつきやすいかと思います。
それでは個人的に良いと思う所を3つ紹介します。
シェフパティシエが考える良いところ① 日本人が一番好きなショートケーキにフォーカス
【ショートケーキ】は日本人一番人気です。
ケーキ屋に行けば必ず購入されるのがショートケーキ、ホールサイズの誕生日ケーキも、今ではいろんな種類がありますが、やはりイメージではいちごのショートケーキが定番になっています。
以下のようなランキングサイトでも紹介されていますが、2位との圧倒的な差は、やはり王道故の結果かと思います。
そんな王道のケーキを使う=万人受けを狙うことにより、どうしてもマイノリティ向けな【トレンド系】スイーツの市場を広げているのがポイントの一つです。
マーケティング的にも【マイナージャンルのメジャー路線】というしっかりブルーオーシャンを狙っているのが良いポイントです。
ブルーオーシャンについてはこちらの記事をどうぞ。
シェフパティシエが考える良いところ② 「ヴェリーヌスタイル」のいいところ
器やグラスに入っているスイーツ・料理のスタイルを【ヴェリーヌ】といいます。
ヴェリーヌ(仏: Verrine)元来、脚のないガラス製の小さな器を呼ぶのに使われる言葉で、飲み物ではなく、液状または固形の料理(前菜、メイン、またはデザート)を入れた一品の名称でもある 。
引用:ヴェリーヌ – Wikipedia
今では、味の構成が3種でなくてもグラスで作るスタイルはヴェリーヌということが多いです。
つまりカップのような容器に入っているので、ここに利点があります。それは【通常のプチガトーに比べて状態の自由度が高い】ということ。
たとえば普通のショートケーキであれば、ケーキ屋では見た目・味とともに
持ち歩き前提で、ある程度の耐性を持たせているか
ここを重視します。
大前提、「ケーキ屋のケーキは持ち帰って家で食べるもの」という設定です。
たとえその場の瞬間食べて美味しくても、家に持ち帰った後に崩れる・味が落ちる・溶けてしまうようなケーキは、ケーキ屋の考え方としては失格です。
そんなことはほとんど無いですが、
【味は美味しいが、見た目が不格好になるケーキ】
【見た目は変わりにくいが、自分の思っている味の再現が完璧にはできない】
このパターンは往々にしてよくあります。
そのため、味を多少下げてでも持ち帰りを重視した作り・構成にする必要がありますが、ヴェリーヌは
- カップに入っているため、溶けて形が崩れたりしない
- 持ち運びがしやすい形状
と、以上に持ち歩きがしやすく・また味の自由度が高いです。
普通のショートケーキに食感となるグッズを挟んだり、ソースを挟むことは実質難しいです。でき無いわけではありませんが、管理コストや製造負荷が大きいです。ヴェリーヌはそれが可能になります。
新感覚な味のバランスや食感の組み合わせが出来る為、提供スイーツの可能性が広がります。
シェフパティシエが考える良いところ③ 缶詰め=空気に触れる面が少ない
これ地味ですが、意外と根深い問題のひとつ。
ケーキ屋らしい避けては通れない問題。それは【ショーケースのケーキ乾燥問題】です。
ショーケースにきれいにならんだケーキから選ぶ楽しさは、まさにケーキ屋の醍醐味ですが、ケーキ自身は【冷蔵庫に裸で入っている状態】とも言えます。
普通の冷蔵庫よりも乾燥しにくい作りになっています。それでもやはり、多少は乾燥してしまいます。そのため、湿度管理をしたり、入れ方や時間を工夫したりします。
通常のカットケーキや、単品のプチガトーは乾燥しやすいです。それは、空気に触れている面が多いからです。
空気に触れているところが乾燥する→空気が循環して新しい乾燥した空気がケーキに触れる→また乾燥する
上記の繰り返しで乾燥していきます。箱に入ったケーキは、循環している空気に触れない(箱内の空気は循環しにくい)そのため乾燥しにくいです。
そして缶の場合も【循環する空気に触れていない】というのが重要です、缶内の空気は循環しにくいイメージですよね。
その為乾燥も非常に遅く、【賞味期限】が長くなりやすいという効果があります。(あくまでも消費期限ではなく、賞味期限です)
賞味期限に関しては、以前書いたこちらの記事を参考になさってください。
実は考え抜かれた?新感覚スイーツ
あくまで思いつきからスタートした【ショートケーキ缶】
ブームを巻き起こした夜パフェ専門店からケーキ専門店を始めるにあたり、スタッフ間で交わされた「遅い時間でも24時間、美味しいスイーツを買いたいよね」、「ケーキ屋のスイーツ自販機あったら面白いよね。缶に入れてさ」という会話がもとになり、2〜3ヶ月かけて「ショートケーキ缶」が完成しました。
引用:札幌にSNSで話題の「ショートケーキ缶」の自販機が登場!札幌限定商品にも注目 – LIVE JAPAN (日本の旅行・観光・体験ガイド)
ですが、考案理由とは裏腹に、【見た目とトレンド感、衛生面と味の構築の自由度の高さ】と、プロのパティシエ目線でも非常にメリットが沢山あるスイーツの形態です。
このような【見た目やインパクト】【味やこだわり】どちらも探求できるものは中々ありません。ぜひこのまま長く流行ってくれると、製菓業界にとってもプラスになるのではないかと、私は思います。
まとめ
いかがでしょうか?
今回はトレンドスイーツ考察企画♪話題の映えスイーツ「ショートケーキ缶」シェフパティシエから見た考察として
- ショートケーキ缶とは?
- シェフパティシエが考える良いところ① 日本人が一番好きなショートケーキにフォーカス
- シェフパティシエが考える良いところ② 「ヴェリーヌスタイル」のいいところ
- シェフパティシエが考える良いところ③ 缶詰め=空気に触れる面が少ない
- 実は考え抜かれた新感覚スイーツ
上記の流れで考察を行いました。
ぜひこのまま新しい商品のジャンルとして定着化されれば、さらに新しいメニューや、より新しい・美味しい物が届けられるパティスリーが増えていくことになります。
私達作り手も心から【美味しい】と思えるものを販売していきたいですが、やはりトレンド枠は販売数が伸びやすいです。経営面ではなくてはならないジャンルですので、どうしても頼らなくてはいけない側面もあります。お金が稼げなければ、事業継続はできませんからね。
ただ、あまりにも「売れるもの」ばかり作っていても、そこに心はこもりません。人間なので、気持ちの踏ん切りがうまくつかず腐ってしまいます。職人として、食に携わる者として一番いいのは「自分が自身を持って提供できる商品を作る」ということ。
そんな職人の我儘をたくさん詰め込めそうな「ショートケーキ缶」トレンドと侮ることなかれ。今こそこんな商品の開発を行い、未来にパティシエという仕事のタスキを渡していける活動ができたらな。と考えてしまう考察でした。
私もこれからも日々精進していきます。みなさんも頑張りましょう!
この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪
それでは!
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