どうも!
某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。
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今回のテーマは
プロ向け!パータグラッセの上手な使い方・ポイント
よく言われるのが「テンパいらないから、溶かして固めるだけだよ」
間違ってはいませんが、厳密に言うと違います。いくら簡単とはいえ、チョコレートについて基本の考え方や理屈を理解していないと上手に作れない(失敗してしまう)ことがあります。
今回は使い方についてのレクチャーと簡単な理屈の紹介を
- おさらい・パータグラッセ(洋生)とは?
- 基本はチョコレートなので、大事なのは温度
- 適正箇所・商品で使う
上記3つに分けて解説します。
おさらい・パータグラッセ(洋生)とは?
前回の記事で【テンパリング不要?業務用の不思議なチョコレート・パータグラッセ】を紹介しました。
こんなかんじでネットでも購入できます。便利!
おさらいですが、パータグラッセの良いところをまとめると
- 分子の形をそろえる必要がない、つまりテンパリングが必要ないという事
- コーティングや、簡単なチョコペン。味が直結しない装飾などに使うのがパータグラッセ(洋生)
- 作業性が良いので、生産性が上がる
こんな感じになります。
最大の利点(クーベルチュールとの違い)は「テンパリングが必要ない」という所。 だからといってよくあるのが
「先輩に言われたから、普通に溶かして伸ばし固めたらブルームが出てしまった…どうしてだろう…」
たしかに「固めるだけ」なら、誰でも出来ます。温度調整も必要ないです。
ただ【キレイに】【口溶け少しでもなめらかに】とするにはパータグラッセ特有のコツがあります。
基本はチョコレートなので、大事なのは温度
パータグラッセはカカオバターの変わりに、一部分子の形を揃える必要のない【加工油脂や植物油脂】が入っています。そのため「固めるためにテンパリングによって分子の形を揃える必要がない」という説明を行いました。
分子の形が重要な理由は、こちらの記事をどうぞ
ただし、すべての油脂分を代替しているわけではありません。あくまで一部です。
パータグラッセがテンパリング不要で固まるのは【代替油脂が先導することにより、残りのカカオバターの分子が安定する】というイメージです。ですから、その管理を少し丁寧にするだけです。
パータグラッセの注意点は2点
- 速やかに固める
- 温度を上げすぎない
この2点です。
速やかに固める理由
パータグラッセはじっくり固めるとブルームが出やすいです。植物油脂のため、流動性が高いのはパータグラッセの特徴ですが、それも合って、おそらくパータグラッセ内の油脂分が時間とともに静かに分離して浮き出てくるものと考えられます。
そのため、素早く固める(固まり始める)ことにより、分離前に固まるので安定する・という理屈です。
特にレストラン等の温度環境が悪い場所では、固まるまで時間がかかり、高い室温下で長く置かれてしまうと分離が進み、作業性も悪いです。
そこで、例えば板状に伸ばした後に一旦すぐに冷蔵庫(もしくは冷凍庫)に短時間入れます。すると急速に温度が下がり固まっていきますが、周りが固まってきたくらいで冷蔵庫から出します。
周りが固まってきているので、その箇所に分子が引っ張られるように固まっていきます。固まり始めるきっかけを与えてあげるイメージですね。
温度を上げすぎない理由
上記とほとんど同じ理由です。追記として
- 温度が高いと、固まるまで(温度が下がるまで)の時間がかかる
- あくまでチョコレートのタンパク質が変性する温度以上に上げてしまうと口溶けが悪くなる
簡単に言うとこの2点です。
逆に作業性が良い為、結構わかりにくいです。油断していると結構高温まで上がってしまうことが多いのがパータグラッセ。耐性もその分ありますが、あくまで基本ベースはチョコレートです。焦げてしまえば使えないし、無駄に高い温度は他の材料にも悪影響があります。
ですから作業時には30℃台を目指して行うと上手にいきます。
適正箇所・商品で使う
ここからは使い方のコツと言うより「パータグラッセが活きる箇所で使う」という説明です。
例えば、パータグラッセは植物油脂が入っているためにサラサラしています。分離もしにくいです。メッセージ用のチョコペン、固まるタイプの王道の作り方はクーベルチュールにカカオバターとサラダ油を入れて作りますが、結構ダマになりやすいのでよく網でパッセしてから使います(小さいサイズだが、コルネを使うチョコペンには小さな異物でも影響がある)
パータグラッセとサラダ油をベースに作ると、ダマがかなり出来にくいので、使いやすい・管理コストが低い、使いやすいチョコペンになります。
「うちはチョコペンの味にもこだわっているんだよ!」
こういう方もいるかも知れませんが、チョコペンに使う量はたかが知れてます。というかこの味の違いはお客様には届きません、多分。
だったら、その労力をスイーツに注いだほうがよっぽどお客様のためにもなり、反応も良いはずです。
同じく
「このボンボンショコラの飾りの点、少量でテンパリング大変だけど頑張ろう!」
無駄です、絶対わかりません。というか伝わりにくいです。
勿論、シェフのこだわりは人それぞれなので否定はしませんが、私は無駄だと断言できます。
そのコストを他に使えばもっといい商品が出来たり、労務環境が良くなってスタッフのパフォーマンスが上がるのに…と思ってしまいます。
せっかくなら、お客様にはしっかりと価値が届けられて、自分や職場の仲間・部下が気持ちよく、良い精神状態で働ける環境を作るために、こういった便利な材料に手を出すべきなのではと思います。
何ごとも適材適所。使えるシーンや【味のインパクトが弱い箇所】は積極的にパータグラッセのような便利な材料を使っても私は問題ないと思います。時代に合わせた柔軟な発想を持った経営者や店が今後も生き残っていくと、私は思います。
まとめ
いかがでしょうか。
今回はプロ向け!パータグラッセの上手な使い方・ポイントとして
- おさらい・パータグラッセ(洋生)とは?
- 基本はチョコレートなので、大事なのは温度
- 適正箇所・商品で使う
こちらについて解説しました。
ちなみに修行時代、パータグラッセは私が働いていた店にはなく、使ったことがなかったです。初めて出会ったときは感動しました。同時に「なんで知らなかったんだろう…」と後悔もしました。
知識は多いほど(引き出しが多いほど)柔軟性や対応力、アイデア力が増します。
こういった副原料の知識は、パティシエならば常に取り入れていきましょう。
この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪
それでは!
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