どうも!
某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。
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有益な情報を伝えていけたらと考えています😆
今回のテーマは
【なめらか派】シェフパティシエが教える!生菓子の基本理論~プリンの作り方のポイント~後編【しっかり派】
前回は
- プリンの種類【蒸し焼きタイプ・ゼラチンタイプ】
- なぜプリンは固まるのか
- なめらかタイプ・しっかりタイプのレシピの違い
- 簡単・シンプルだからこそオリジナリティを出す
- 絶対おすすめ・スチコンでの焼成
こちらの前半部分の説明を行いました。まだ読んでいない方はこちらの記事をどうぞ!
今回は後編、それぞれの状態に持っていくための材料や焼き方アドバイス、私のおすすめの作り方の紹介です。
なぜおすすめの作り方がこうなったのか【私自身の経験談】も含まれるので、説得力も高いと思います。机上の空論ではなく1人のシェフパティシエの生の意見、ぜひ参考にしてみてください😊
- 簡単・シンプルだからこそオリジナリティを出す
- 絶対おすすめ・スチコンでの焼成
それではスタートです!
簡単・シンプルだからこそオリジナリティを出す
卵以外にも重要な要素がある
前回は卵がプリンに与える影響について解説しましたが、もう一つ大きな要素は牛乳です。牛乳と書きましたが、【水分・乳脂肪分】と置き換えて考えてもいいかもしれません。
プリンの材料で一番ボリュームが多いのが牛乳です。前回の例で出したレシピも
牛乳250ml 全卵100g 砂糖30g
全体のおよそ60~70%が牛乳【水分・乳脂肪分】になります。ということは、その分完成品への影響も大きいということです。おいしい牛乳がいいのは勿論ですが、プロ向けに【プリン向けの加工牛乳】を開発・販売している乳業メーカーもあります。プリンがおいしくなるように乳脂肪分や成分調整したものなので、非常に使い勝手がいいものです。
また、牛乳の一部をほかの材料に置き換えることにより食感を変えることができます。よく使われるのが【生クリームに置換】することです。
これは、乳脂肪分を上げることにより【なめらかさ・濃厚さ】をあげることができます。結果とろけるような、なめらかプリンにすることができます。卵黄の含有量を増やした時の作用と近いです。近年はこのタイプが主流です。火付け役はパステルの「なめらかプリン」です。
しっかりと蒸しあがった昭和レトロな「カスタードプリン」と違い、なめらか食感のプリンは子供の頃に初めて食べた時は感動しました!
パステルで販売されてから一般的に認知されるようになり、今ではコンビニやスーパーでも当たり前に販売される「なめらかプリン」の系統です。好みによりますが、大体牛乳の10~20%を生クリームに置換するレシピが多いです。
ちなみに、
生クリームの置換量を増やしていき、同量を超えて逆転するとプリン→クレームブリュレになります。
生クリームを入れたレシピの完成品のイメージがわきやすいのではないかと思います。
近年ではチーズを入れるパターンも!
少し前に流行った【イタリアンプリン】
型から抜いてもしっかりと角が立つ、固いプリンが一周回って脚光を浴びましたが、こちらは乳脂肪分をチーズに置き換えて作ったものになります。チーズは冷えると保形性・ボディ感があるので、ただ固いだけではなく【もっちり】【ねっとり】とした食感が人気の理由です。
プリンは基本的には単純な構成・味が人気の理由ですが、シンプルだからこそ【製作者】の工夫やこだわりが差別化につながります。おいしいプリンって、世の中に本当に沢山あります。レシピをこだわらなくても、先にあるような【プリン専用牛乳】を使って普通に作るだけでも十分おいしいプリンになります。
以前に比べて【誰でも簡単に】おいしいプリンが作れる時代です。だからこそ、従来の常識にとらわれないで、さらに良いものを見つけ取り入れるのがプロとして重要なのではないかと思います。
絶対おすすめ・スチコンでの焼成
もちろん材料だけではなく、焼き方でもプリンの食感は変わります。プリンが固まるのは「卵の熱凝固作用」という話をしました。
卵黄→65℃で固まり始め、70℃で流動性を失って固まり、80℃で粉質状に固まります。
(範囲が狭い・すぐ固まる)
卵白→58℃でゆっくりゼリー状に固まり始めて、80℃でしっかり固まる
(範囲が広い・ゆっくり固まる)
上記の温度は【何も入っていない卵】の凝固温度です。砂糖や牛乳が入ることにより、卵の凝固温度が高くなります。そのため、レシピによりますが
20~25分で85℃まで加熱すると滑らかなくちどけが良いプリンができるといわれています。加熱時間を30分・40分と延ばせば、その分しっかりとした固めのプリンにすることができます。
ただし温度が上がりすぎると沸騰したり、過剰に熱が入ってざらついたり、卵に含まれる炭酸ガスの逃げ場が無くなり「す」が立ってしまいます。
あくまでも高すぎない温度で、時間の長短で調整することが重要です
温度が上がりすぎないようにするには【安定した】【温度管理のしやすい焼き方】が必要です。従来では生産性の意味合いも含めて【オーブンの湯煎焼き】が一番適していましたが管理する温度帯がたくさんあります。
- 焼成前のアパレイユ温度
- 容器の材質
- 「湯煎」の温度
- オーブン温度
- 焼成時間・庫内温度・その日の気温
それぞれをしっかりと計測し・かつ状態を素早く見極めながら焼かなくてはいけません。オーブンのドアを開けている時間=庫内温度の低下になるので、あまり長時間判断に時間がとられると、すべてのプリンが適切な火入れができずに全滅…なんて事にもつながります。
私の修行時代の話です。当時お店は【デッキオーブンで湯煎焼きのなめらかプリン】を販売するお店でした。お店の看板商品だったので毎日必要分を作っていましたが、
混ぜる前の牛乳&生クリームの温度・湯煎温度は1℃単位、焼成時間は15秒単位で細かく日々調整
という、プリンながらなかなかレベルの高い仕事内容でした。ですが、温度さえあっていればいいというわけではなく一番の急所は
【火が通ったチェックは2回まで】しかできないところ。
これが厄介で、3回以上確認すると庫内温度が下がり状態が悪くなるor生焼けになってしまい、無理やり火を通しても商品価値がなくなってしまう。つまり売り物にならなくなります…!そのため
「なんとなく、あと45秒くらいかな~」
という感じで、ほとんど感覚で焼いていました。
ですから最初の時期は【あ、焼きすぎた…商品にならない】【チェックしすぎて火が通らない…全滅】といったミスが多かったです。一番下っ端だったので、かなり落ちこみました…
そんな苦い思い出の当時を思い返すと、絶対におススメの焼き方があります。
それは
【スチームコンベクションオーブンでの焼成】です。スチームコンベクション・略して【スチコン】なんて言い方をします。
これは本当に革命的でした。デッキオーブンの湯煎焼きでは15秒ズレたら完成品に雲泥の差が出ていましたが、スチコンは2~3分くらいならほとんど差がありません!ポイントはスチコンの焼成方法にあります。
仕組みとして、湯煎焼きは【庫内温度と湯煎の蒸気温度で最終温度を計算・調整する】焼き方ですが
対してスチコンは【庫内温度を指定した温度の蒸気で保つことができる】のがポイントです。
湯煎焼きの場合、庫内温度は湯煎が蒸発した温度+庫内のオーブン温度で随時変わっていきます。そのため、オーブンの戸を開けると一気に下がったり、庫内温度は140~160℃前後と高いので時間の影響を強く受けます。庫内温度も100℃以上なので、時間がたてば湯煎は水なので【沸騰・つまり100℃】に向けて上昇し続けます。
その点!スチコンの場合は常に指定温度の蒸気でいっぱいになっているので、温度が過剰に上がったり下がったりせず、安定した状態を保ち続けます!!これが本当にすごい!下がらないということは、確認のためにオーブンの開け閉めを行ってもすぐに状態復帰ができるということです。(もちろんゼロではないので、確認時間・回数は少ない方が良いです)
確認に対してのリスクが少ないので、非常に焼成しやすく・クオリティーのコントロールがしやすいです。「なんとなく」という感覚論が少ないほど、新人パティシエも業務を早く覚えることができるので、新しい技術や仕事を習得する時間の確保にもつながります。
当時の経験が全くの無駄にはなっていないと断言はできます。すべての経験や方法は自分の糧になります。
が、私が今後プリンをわざわざデッキオーブンで湯煎焼きする事はないでしょう…🤣
まとめ
いかがでしょうか。
今回は【なめらか派】シェフパティシエが教える!生菓子の基本理論~プリンの作り方のポイント~【しっかり派】として
- プリンの種類【蒸し焼きタイプ・ゼラチンタイプ】
- なぜプリンは固まるのか
- なめらかタイプ・しっかりタイプのレシピの違い
- 簡単・シンプルだからこそオリジナリティを出す
- 絶対おすすめ・スチコンでの焼成
プリンのすべてを説明はできていませんが、前後編に分けて基本的な理論やなめらかプリン・しっかりプリンの材料・作り方の違いなど解説を行いました。
シンプルがゆえに奥が深く・また皆さん大好きですよね。スイーツ人気の上位に常に入っています。
基本で簡単だからこそ、しっかりと理解して自分の狙い通りのプリンが作れるようになりましょう。
この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪
それでは!
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