どうも!
某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。
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有益な情報を伝えていけたらと考えています😆
今回のテーマは
焼き菓子の保存方法、シリカゲルとエージレスの違い
ケーキ屋さんといえばたくさんある焼き菓子。個包装された焼き菓子はちょっと甘い物を食べたいときや手軽なお土産。贈答用の箱詰めなど様々なシーンで使われます。
市販のお菓子にも入っている事はあるので見たことは多いと思いますが、「皆さんそれぞれどんな効果があるか」ご存知でしょうか?
これ学校では教わらないんですよね…(教えている学校があったらごめんなさい)
というわけで、パティシエには必要な知識「焼き菓子の保存に使う乾燥剤・脱酸素剤」について
- 常温保存の焼き菓子の保存方法
- 乾燥剤(シリカゲル)と脱酸素剤(エージレス)の違い
- それぞれの効果・反応の違い
- 扱う際の注意点
- オススメのシリカゲル・脱酸素剤
上記のポイントに絞って解説していきます。
常温保存の焼き菓子の保存方法
店頭でよく販売している焼き菓子ですが、一部を除いて「常温保存」が出来るのがポイントです。
生菓子と違い温度をそこまで気にしたり、持ち運ぶ際にあまり気を使わなくても問題なく運べます。
贈答用や、遠方まで持っていくときは便利な焼き菓子ですが、なぜ常温保存で問題がないのか。
例えばスーパーで買ってきた食パンを1週間位おいておくとすぐカビてしまいますよね。ではなぜ焼き菓子はカビないのでしょうか?
それは、【乾燥剤や脱酸素剤で品質を保ち、カビ無いように保存性を高めているから】です。
順番に説明していきます。
乾燥剤(シリカゲル)と脱酸素剤(エージレス)の違い
ほぼすべての焼き菓子は
- 乾燥剤
- 脱酸素剤
このどちらかと一緒に、包装袋やガス袋に入った状態で管理されていると思います。(一部大手メーカーは、窒素ガスを封入して対策しています。)
よく「食べものではありません」と書いてあるものです。
子供の頃は
「なんで食べられないものが一緒に入ってるんだろう」
と不思議でした。
乾燥剤(シリカゲル)
最も代表的な乾燥剤です。シリカゲルは珪酸ソーダと硫酸の中和反応から製造され、スポンジとよく似た多孔性の分子構造を持っています。
引用:乾燥剤とは
脱酸素剤(エージレス)
脱酸素剤エージレスが密閉容器内の酸素を吸収して、脱酸素状態(酸素濃度0.1%以下)とし、食品などが酸素から受ける影響をとり除きます。
引用:脱酸素剤「エージレス」 | 製品情報 | 三菱ガス化学株式会社
食品分野で長期間の「おいしさ」と「鮮度」の保持を可能にしました。
それぞれ「シリカゲル」は代表的な乾燥剤の種類・「エージレス」は最も有名な脱酸素剤の商品名です。
サイトに直接飛んで確認…は大変なので、簡単にわかりやすく説明します。
一般名として浸透しているので、今回はこの「シリカゲル」「エージレス」の名称でわかりやすく説明していきます。
それぞれの効果・反応の違い
まずはシリカゲルから。
漢字の名前を見ると【乾燥剤】とあります。そのままですね。
「乾燥させるため」に使います。
具体的には空気中の「湿気」を吸湿して「乾燥させる」という役目があります。
クッキーやせんべいなど、【湿気ってしまうと味が落ちるもの】や【水分があるとカビてしまうもの】に入れて、乾燥状態を継続させる効果があります。
また、カビも生き物なので、水分がないと増えることができません。そのため乾燥させて、繁殖しないようにしています。(ただし、乾燥菓子にカビ発生はよっぽどの悪条件なのでほぼ無いと思いますが…)
こちらはよくあるタイプ。中の青い顆粒が色が変わると【水分を吸湿している】状態なので、見た目でわかりやすいです。最終的に透明になると、もう効果がない状態となります。
シートタイプもメジャーな種類です。袋だけですと不安定なので、【形が崩れやすいデリケートな焼き菓子】に向いています。
次にエージレス。
こちらも漢字の名前を見ると【脱酸素剤】とあります。
「酸素をなくす」ために使います。
具体的には空気中の「酸素」をなくして「無酸素状態にする」という役目があります。
マドレーヌやパウンドケーキなど水分が多い食品(水分がないと成り立たない商品)の場合、乾燥させる対策が取れません。その代わり【酸素をなくしてカビが繁殖しない】という対策を取ります。また、【食品を酸化(劣化)させない】という効果もあります。
カビは酸素ガスが存在しなければ生育できないので、ガス充填包装にしても脱酸素剤包装にしても、包装フイルムは酸素ガスを通さないことが第一条件である。
引用:包装食品のカビ防止方 of サンコー商事
こちらが一般的なエージレス。他社の製品も名前は違えど【酸素を吸着させる】働きを持つ製品です。
また、個人的におすすめのタイプがあります。ネガモールドという商品です。
こちら、何がすごいかと言うと脱酸素状態にする前に
【アルコール離散し中の空気を殺菌してから脱酸素状態にする】
というすごい効果があります。
これほんとに便利です。
勿論、すべての焼き菓子や現場に適しているわけではありませんが(アルコール離散が始まる時間が、エージレス効果が出る時間より短い為、作業時間がシビア)それでもリスクは格段に減ります。
そもそもカビの胞子や雑菌を殺菌しつつ、脱酸素状態にするので、2重の安全策が取れるスグレモノです。
私もこちらを知ってから7年間使っていますが【カビ問題はゼロです】
ピンホールカビのクレームに悩むケーキ屋さんは、ぜひお導入をおすすめします。
扱う際の注意
それぞれ色が変わったり、チェックシートなどで視覚による確認ができるようになっていますが、
どちらも個包装の袋の中にある空気中の水分・酸素をなくして対処する方法なので、【入れる直前まで反応させない】事がポイントです。
それぞれ差はありますが、私は部下に
【シリカゲルは20~30分、エージレスは15分以上は外気に触れないように】
という指導を行っています、(季節にもよりますが)メーカー推奨も概ね約15〜30分前後のところが多いです。
ちなみに余談ですが実際は【もう少し余裕があります】(安全マージン)以前メーカーの方が主催する講習会で聞きました。
ただ、やはりメーカーとしては
【おたくの脱酸素剤使ってカビが出た!どうしてくれるんだ!】
というクレームは絶対に避けたいので、実際の効果よりも低めの数値で説明・推奨しています。
これは、以前の賞味期限の理屈と同じですね。詳しくはこちらの記事も参考になさってください。
オススメのシリカゲル・脱酸素剤
ここからは完全に個人の主観で書きます。
まずシリカゲルに関しては袋タイプをおすすめします。
理由は安いのと汎用性が高いこと。
例えばパーツとして作ったメレンゲやチュイールの保存にも使いやすいですし、またどんなタイプの包材にも対応できるのと「顧客目線で見慣れている」というのがあります。使う前に切ったりする必要も無いので扱いがしやすいです。
また、経営上複数の資材や材料を持つことはよくありません。種類が少なければ少ないほど管理コストや在庫コストが下がるからです。
ですが近年のシートタイプも良い点はあるので、これに関しては完全に私の好みです。
そしてエージレスですが。これは先程書いたとおり
ダントツでこちらのネガモールドです。
これは現場の声として声を大にして伝えたいのですが、焼き菓子のピンホールカビ問題は本当に対処が大変です。。。
どうしてもお店の場合、焼き菓子は熱い場所に置かれてしまうことも多いです(店内の販売スペースや、レストランなど)冷暗所が販売所という店はなかなか少ないと思います。
少しでもリスクを下げるために「密封してから殺菌を行っている」というのは心理的にも非常に負荷が減ります。
【袋の中でアルコール除菌してます】というのはわかりやすいですよね、お客様への説明にも使える有効な手段だとおもいます。
ですので、働くスタッフのためにもお客様のためにも、多少高いですが、ネガモールドの導入をオススメします。
まとめ
いかがでしょうか?
今回は焼き菓子の保存方法、シリカゲルとエージレスの違いとして
- 常温保存の焼き菓子の保存方法
- 乾燥剤(シリカゲル)と脱酸素剤(エージレス)の違い
- それぞれの効果・反応の違い
- 扱う際の注意点
- オススメのシリカゲル・脱酸素剤
ご紹介しました。
ただ【さんそが〜15分〜】とか説明がいまいちピンとこないですよね。
次回は【部下にする!シリカゲルとエージレスを使う際に、教えるわかりやすい例え話】についての記事を作成します。
理屈も含めて説明できるオススメの例え話を紹介するのでぜひ参考になさってみてください。
この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪
それでは!
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