どうも!
某企業で、現役シェフパティシエとして働く【スイーツだいすき大男】です。
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今回のテーマは
焼き菓子の基本理論〜スタンダードなパウンドケーキの作り方〜
について解説していきたいと思います。
前回は王道の焼き菓子「マドレーヌ」について解説しました。
おさらいになりますが
クッキーのような乾燥した焼き菓子をフールセック(乾いた焼菓子)
マドレーヌやパウンドケーキのようなしっとりした焼き菓子をデミセック(半生菓子)
と言います。
今回はデミセックのなかでも「お菓子作りといえば」「ケーキ屋さんといえば」というパウンドケーキについて解説していきます。
パウンドケーキの中でも基本中の基本。
カトルカール(4同割)のシュガーバッター法のパウンドケーキ
- カトルカールとパウンドケーキの名前の由来
- シュガーバッター法とフラワーバッター法
- ポイントは「水分の乳化」
- 混ぜるときは「温度と状態を徐々に合わせていく」
上記4点のポイントについて解説していきたいと思います。
「基本がたくさん詰まっています、しっかり作れるようになれば他の焼き菓子への応用も効きます!」
カトルカールとパウンドケーキの名前の由来
まず「カトルカールってなんやねん」と思った方も多いかもしれません。
言葉の意味としてはフランス語になります。
フランスではカトルカール (仏: quatre-quarts) といい、「四分の四」の意味。これも小麦粉・バター・砂糖・卵の4つの材料を同量ずつ使うことに由来する (4 = 1×4)
引用:パウンドケーキ – Wikipedia
家庭用と違い多くの業務用のバターは1ポンド(約450g)で売っています。
このバターに合わせて
【バター・砂糖・卵・小麦粉を1ポンド(pound)ずつ入れるケーキ】
という意味で「パウンドケーキ」と言います。そのまんまの意味ですね😁
(ちなみにバター1ポンドで作ると、かなりの量出来るので家庭ではやらないように…)
と言うわけで超王道のレシピは
バター・砂糖・卵・小麦粉が同じ量というとても覚えやすい配合になります
(厳密に言うと、このカトルカール以外はパウンドケーキとは言わないかもしれませんね🤣)
シュガーバッター法とフラワーバッター法
カトルカールのパウンドケーキには大きく2つの作り方があります。
- シュガーバッター法
- フラワーバッター法
なんのことだ…
とはなりません!実にシンプルです。
シュガー→砂糖
フラワー→小麦粉
バッター→バター
という意味ですので、作成手順の最初をどうするかという意味になります。
- 柔らかくしたバターに砂糖を混ぜる→シュガーバッター法
- 柔らかくしたバターに小麦粉を混ぜる→フラワーバッター法
今回は基本が詰まっているシュガーバッター法の解説を行います。
個人的には【カトルカールのシュガーバッター法で美味しいパウンドケーキを作れないなら、他のケーキも美味しく作れない】と思っているくらい重要かつ高度な焼き菓子と考えています。
ポイントは「水分の乳化」
実際に作るとわかりますが、
【カトルカールのパウンドケーキは作りにくい】です。
理由は一つ。
圧倒的に卵(水分)が多い
シュガーバッター法のパウンドケーキの作り方は
- バターに砂糖を入れる
- 1に卵を入れる
- 2に小麦粉を入れる
簡単に書くとこうなりますが、普通に作っていると2の段階で分離します。
なぜかと言うと、生地の配合量に注目するとわかります。正解は
バター量に対して水分が多いのです。クッキー作るときに、牛乳や卵を入れるレシピを作ったことがある方はわかると思いますが、バターはメインが油なので、つなぎがないと分離しやすいです。
油断していると、100gのバターに牛乳20gでも分離します。(油断と言うか、適当に作れば)
なぜ混ざるかと言うと、卵黄の乳化力(バターもちょっとは貢献)があるからです。
乳化とは、水や油などのお互い混ざり合わない2つの液体の一方を微粒化させ、他方に分散させることをいいます。卵黄のタンパク質に含まれているレシチンという成分が、この反発する2つの性質を中和する働きがあります。
引用:卵の三大特性とは
特に卵の乳化力がわかりやすいのが、マヨネーズですね。
卵を加えることで油と酢が分離しない状態に保たれるのです。この場合、卵が乳化剤となります。
引用:乳化とは?乳化が起こる原理や乳化の方法などを解説! | DELISH KITCHEN
さて、よくある方法として少しずつ卵(水分)入れていきますが、それでもこの水分量では分離しやすいです。
レシピによっては「先に小麦粉を入れて、分離を防ぐ」とありますが、確かに先に粉(水分を吸収するもの)を入れれば、分離した水分は消えますが、生地がしっかり乳化したかわかりにくくなります。
パウンドケーキは、分離した状態で小麦粉を入れても、全て混ぜ終わってしまうと、見分けがつきにくいです。焼き上がって・味見をして・日にちが経ってから初めてその違いに気づきます。
ポイントはいかに水分を生地に乳化していくかですが、ここで以前の記事の理論が活躍します。
混ぜるときは「温度と状態を徐々に合わせていく」
ムースの理論として紹介しましたが、焼き菓子も同じ考え方が使えます。
こちらの記事から引用しますと
今回は「生菓子の基本理論〜ムースの作り方のポイント〜」として
3つのポイント、混ぜ合わせる食材の
- かたさ
- 温度
- 混ぜる順番
について説明しました。
上記に準じていくと
- バター&砂糖を溶けない程度に温めて柔らかくする→かたさ
- 卵の温度を温めたバター&砂糖に合わせる→温度
- 混ぜる順番はこのままなので割愛
となります。
撹拌しながら少しずつ混ぜていくと、しっかりと乳化します。(撹拌を止めてほっておいたり、一気に卵を入れたり、冷めてくると分離します)最後に乳化した状態で小麦粉を入れれば生地の完成です。
あとはオーブンで火が通るまで(中心の生地まで火が入るまで)焼成しましょう。
お好みで焼き上がったパウンドケーキにリキュールを使ったシロップを染み込ませても美味です。
スタンダードなカトルカールでは、基本何でも合います。色々試してみると知識・経験が広がります🤩
いくつか一般でも手に入りやすいものを紹介しますと
「あま〜いキャラメルのような香り」ならこちら。
ムースにもオススメです。
高いけど美味しい!上品な香りならばこれ
VOでもいいですが、やはりVSOPの芳醇な香りには敵わない…
定番の柑橘系、焼き菓子ならこちら
焼き菓子との相性はバッチリ!爽やかに効かせるならトリプルセックもおすすめです。
しっかりと乳化した状態で作るパウンドケーキは格別の味です。この基本のカトルカールを正確に作れるパティシエになれれば、他の焼き菓子もしっかりと作ることが出来るパティシエになれます。
ぜひ一度チャレンジしてみてください。
まとめ
いかがでしょうか?
今回は
焼き菓子の基本理論〜スタンダードなパウンドケーキの作り方〜として
- カトルカールとパウンドケーキの名前の由来
- シュガーバッター法とフラワーバッター法
- ポイントは「水分の乳化」
- 混ぜるときは「温度と状態を徐々に合わせていく」
の順で解説を行いました。
よーく見ると、世の中にあるパウンドケーキのレシピで「カトルカール」を基準にしているものは多いです😜
水分や小麦粉の種類を一部置き換えたり、具材を足したり、作りやすく水分量を減らしたり。
そのようにベンチマークされるくらい「基本中の基本のレシピ」といっても過言ではありません。
基本と美味しさがたくさん詰まっているカトルカール、ぜひしっかりと作れるようになりましょう。
この記事が未来のシェフパティシエや、スイーツを愛する全ての人のためになりますように♪
それでは!
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